脱走 夜。湖に囲まれたパライストラから外界へ続く一本道。 あたしと光牙はそこにいた。 「ねえ―、マジでいくわけ―?」 パライストラから無断で出ていく…もとい脱走とか、その後どうなるか絶対わかってないだろ。 ヘタしたら殺られるよ。 …あたしは全力で逃げるけど。 「当たり前だろ!? 沙織さんのこと気にならねえのかよ!」 「そりゃ心配だけどさー…。 その後の騒ぎが目に見えるんだけど。 ……ん?」 反対側から誰か、来た。 へえ…中々いい小宇宙を持ってるなあ…。 ・・・・とりあえず、戦闘にならないことを願う。 と思った矢先に、相手の小宇宙が上昇した。 「っなんだあ!?」 「水の、壁!?」 あたしたちの行く手を阻む水の壁! 早速戦闘!? 「まだ駄目だよ、君達は光に目覚めていない。」 臨戦態勢をとるあたしたちにそれだけいうと、さっそうと立ち去ってく少年。 ちょっとしか見えなかったけど、結構可愛い顔してたなー。 「どーゆーいみだ!それ!」 あの子が言ってたこと気になるけど、 それよりまずこのおばかを引き戻さないとな。 「はいはい、落ち着きなさい。 もう誰かにばれたんだし、脱走劇はもう終わりね。」 「んな!?」 「それに、あの子のこと気になるでしょ? だったらまずはあそこに戻らないと…。」 「うっ…分かったよ。」 良かった。 脱走だけは避けられた…。 でもこの分だといつ言いだすか分かんないなあ―――。 ← → back 141/19 |