脱走



夜。湖に囲まれたパライストラから外界へ続く一本道。
あたしと光牙はそこにいた。

「ねえ―、マジでいくわけ―?」

パライストラから無断で出ていく…もとい脱走とか、その後どうなるか絶対わかってないだろ。
ヘタしたら殺られるよ。

…あたしは全力で逃げるけど。


「当たり前だろ!?
 沙織さんのこと気にならねえのかよ!」
「そりゃ心配だけどさー…。
 その後の騒ぎが目に見えるんだけど。
 
 ……ん?」

反対側から誰か、来た。
へえ…中々いい小宇宙を持ってるなあ…。
・・・・とりあえず、戦闘にならないことを願う。
と思った矢先に、相手の小宇宙が上昇した。


「っなんだあ!?」
「水の、壁!?」


あたしたちの行く手を阻む水の壁!
早速戦闘!?

「まだ駄目だよ、君達は光に目覚めていない。」


臨戦態勢をとるあたしたちにそれだけいうと、さっそうと立ち去ってく少年。
ちょっとしか見えなかったけど、結構可愛い顔してたなー。


「どーゆーいみだ!それ!」

あの子が言ってたこと気になるけど、
それよりまずこのおばかを引き戻さないとな。

「はいはい、落ち着きなさい。
 もう誰かにばれたんだし、脱走劇はもう終わりね。」
「んな!?」
「それに、あの子のこと気になるでしょ?
 だったらまずはあそこに戻らないと…。」
「うっ…分かったよ。」

良かった。
脱走だけは避けられた…。
でもこの分だといつ言いだすか分かんないなあ―――。







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