最期の見送り人





「ありが、とう…幸せを…くれて…ありが、とう」



光に飲まれていく光牙たちを、
アリアは暗い地面の上で見送る。



「ありがと、う…ありが…とう…」


ぽろぽろと、涙を流す。
だんだん虚ろになっていく視界の中、自分を見降ろしている影が見えた。



「ぁ…」


青い髪をした男。
その男は金色に輝く黄金の聖衣を纏っていた。



「礼を言うぜ。
あの馬鹿を支えてもらっちまってよ。」

低い男の声。
それは優しくアリアに語りかけた。


「ぁ、なた…は…」
「別に、無理に話そうとしなくていいぜ。」



きつく、しかしやさしく言う男。
影になってアリアからはその目を見ることはできなかったが、
優しい光を浮かべているだろうと思った。


「あんたを守れなくて、悪かったな。
 折角あんたにあの馬鹿弟子を元の世界に戻してもらったのによ。」



申し訳なさそうにいう男に、アリアは首を振った。


「ぃ、いの…私は…今まで皆に、ホタルに守って、貰ったから…」
「そうか…。」


ガラガラと、空間が崩れていく。
ぴしり、とアリアが横たわる地面にひびが入った。



「私…皆のこと…守れた、かな…?」
「あ?」



音を立てて壊れる世界。
アリアは虚ろな目でそう男に問いかけた。



「んなもん…」



男がその問いに答えようとしたとき、
アリアの目は閉じられていた。


「んだよ。
 聞いたからには、最後まで聞いとけよ。」



岩が崩れ、アリアの体は闇の底へと落ちていく。
男の体もキラキラと光り、形を崩していった。




「ま、俺も時間切れか。」



男が、上を見上げた。
口角を上げ、あくどい笑みを浮かべた。



「それじゃあ、あとは自力で頑張れよ。
 ホタル。」











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