見えたもの




光が収まると、
目の前に光牙とアリアちゃんがいた。


「光牙…アリアちゃん…?」

まだ頭がくらくらする。
あたし、何か夢をみてた…?
おぼつかない記憶と頭に、ぼんやりとしていたら光牙も呆然としていた。


「…俺の本当の小宇宙は闇だったのか…?
それじゃ、それじゃあ、今までの俺の光はなんだったんだ?」
「沙織さんの光の小宇宙が貴方を護っていたのかもしれないわ。
 それだけじゃない。
 貴方が自分の中の小宇宙を信じていたから…光の小宇宙を燃やすことができたんだと思う」
「アリア……。」


二人も、隣にいるエデンもあたしと同じような体験をしたんだろうな。
心惑わす、闇の遺跡。
そこで光牙は、真実を知ったんだろうけど…。


「さあ、闇の遺跡のコアを破壊しましょう。
 貴方にしかできないことよ。」
「……うん」


2人は、闇の遺跡のコアへと手を向けた。
粉々に砕ける闇のコア。
光の粉が降り注ぐ中、光牙はぽつりとつぶやき始めた。

「シャイナさんから聞いたんだ。
 マルスと星矢の戦いを止めた隕石と、その時運命を分かたれた2人の赤子のことを」
「その2人って……」
「あぁ」

光牙は、寂しそうに、それでもやさしくアリアちゃんに微笑んだ。



「俺たちらしい」



あたしは、二人の過去に何があったのか知らない。
だけど…ふたりはずっとずっとつながってきたんだって思う。


それこそ、人と人を繋ぐ絆という名の糸みたいに・・・。



「あ…。」



光の粉が舞い散る中、何かがゆっくりと落ちてきて光牙の手の上に乗った。
それはコアを壊すといつも出てくる…コスモクリスタルだった。



「闇のコスモクリスタル…。」


アリアちゃんが、そのクリスタルに手を翳した。
すると真っ黒に染まっていたクリスタルは虹色に輝いた。


「それを闇に戻さないで。
 光のペガサスが闇のペガサスにならないように…。
 大丈夫。貴方は闇にとらわれたりしない。
 私が…そばにいるから。」
「…あぁ。」


二人が、微笑み合った。
二人が一緒なら、大丈夫。

あたしはそう思って微笑を湛えながら目を瞑った。




「ホタル。」
「!」


そんなアリアちゃんがあたしのことを呼んだ。


「?
 どうしたの?」


あたしになんのようだろ?
別に特になんも話すことないと思うんだけど…。


「貴女に言っておかないといけない。
 貴女を助けたのは…私じゃない。」
「え?」
「私が助ける前に…誰かがもう、ホタルを助けてた。
 青い髪をした…男の人だった。
 その人が私にあなたを託してくれたの。」


だから、光が収まった時にアリアちゃんと一緒にいたのか…。
どうしてなのかわからなかったけど…そう言うことだったんだ。



「…じゃあ、やっぱり」




あれは、夢じゃなかったんだ。
師匠が、あたしを救ってくれた…。
魂の姿になっても、あたしのことを…。



「でも、私が見たのはそれだけじゃなかった。」
「え?」


アリアちゃんがあたしをまっすぐ見ながら、
アリアちゃんは言葉を紡いだ。



「あの時、私には――…」



湧き上がるおぞましい小宇宙。
それは、あたしたちに降り注いだ。












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