あふれる命の光



次のコアを目指していると、いきなり大雨に降られてしまった。
あたしたちは慌てて雨宿りできる建物の中まで走った。


「ふう…!」
「ぅわあ、髪の毛ぐしゃぐしゃ。」


タオルで頭を拭いていると、アリアちゃんが楽しげに微笑んでいるのが見えた。
…アリアちゃん、だんだん感情表現が豊かになってきてる。

うん、いい傾向じゃん!


「しっかし、雷の遺跡が近づいてるからってすっげえ雨!
 これってまさか、シャイナさんのせいじゃないよな?
 突然こいだなんて人使い荒いってさ…。」
「ふふふ!
 でもよかった。光牙の師匠が雷の属性で!
 私たちだけじゃ雷のコアを破壊できないものね。」
「あたしに関しては何の属性かすら分かんないもんね。」


パライストラの先生曰く、「火」ってことだけど…。
それは鬼蒼炎だけ見ての言葉。
実際は何に当たるかわからないからなぁ。


「…次が、最後の遺跡!」
「ああ!
 バベルを壊してマルスを倒して!
 沙織さんと世界を救うんだ!」
「ええ!」
「そうだね!」


光牙の言葉にあたしたちがうなずくと、太陽が出てきた。
通り雨はもう上がっていた。


「さて、雨もやんだしいこうか。」



進めるときには、進まないとね。





-





大きな泉の周りを歩いていると、アリアちゃんが止まった。
その足元には、枯れた花。
アリアちゃんがふれると、すぐに散ってしまった。


「アリアちゃん…?」




アリアちゃんは悲しそうな表情で必死に高台へ上った。
あたしたちも昇ると、そこから大きな湖が一望できた。


「へえ、でっかい湖だな。」
「でも、悲しい湖。
 命の光を感じないわ。」
「…。」




大きな和泉があるというのにその周辺には草木が一本も生えていなかった。
少し離れれば多少の草や花が生えていたが、生気はなく今にも散ってしまいそうだった。


「芽生えても、すぐにかれてしまう。」


なんて思いつつ見つめてると、アリアちゃんが地面に咲く花に触れた。
それもまた、散りそうになったがアリアちゃんの優しい、
光の小宇宙に触れてまた美しく咲き始めた。

「アリア…」
「アリアちゃん…」


アリアちゃんは、光をまといながら丘を下る。
その光は、まるで軌跡をたどるように広がっていった。
枯れた花がその神々しい光を浴びて嘘のように咲き乱れる。


「命あふれる、光の力か…。」


命を冥府へと送る、悲しい力とは大違いだね。




















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