親友の孫弟子




「おーーーい!またなーーー!」



羅鬼が崖の上から手を振ると、光牙たちは手を振った。
その姿はどんどんと小さくなっていく。

「ぐす…!」

なんだか急にさみしくなり、羅鬼が涙をふくと、
後ろから「羅鬼」と誰かが呼んで慌てて振り返ると、貴鬼が立っていた。


「貴鬼様!」
「こんなところにいたのか。
 心配したぞ。…まさか一人でスターダストサンドを取りに来たのか?」


貴鬼が羅鬼に聞くと、羅鬼はうれしそうに貴鬼に抱き付いた。



「あのね貴鬼様!
 今日聖闘士に会ったんだよ!」
「え?」


羅鬼が貴鬼の手を取り、崖の下を指さした。


「ほら!」
「!」


遠くに、五人の人影。
それを見て貴鬼はうれしそうに微笑んだ。

「そうか…。
 あれが新しい聖闘士たち…。」


しばらくその人影を見ているが、羅鬼が思い出したようにきいた。


「そう言えば貴鬼様、シオンって人知ってる?」
「!?」


穏やかな顔で小さくなった人影を見つめていた貴鬼が、目を見開く。
その顔には、驚きの表情が浮かんでいた。


「なぜ…!?その名前を…!」

師の思わぬ反応に、羅鬼の方が驚いたが聞かれたので素直に答える。

「ホタルの親友だって!
 昔、その人がジャミールに住んでたっていっていました!
 もう死んじゃったらしいけど…。」
「…。」


いろんな感情が混ざった眼で、遠くを見る。


「シオン様……ムウ様……」



その顔はどこか、寂しそうで、辛そうで…。
遠い目をしていた。

そんな見たことのない、師匠の表情を不安そうに羅鬼は見上げた。














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