遊びます!




「大勢でいると楽しいのだ!」


光牙に肩車された羅鬼は本当に楽しそうに笑った。
もー、子供の純粋な顔っていいなぁ。


「そうなのか?」
「今度は蒼摩兄ちゃんが肩車してやろうか?」
「蒼摩はチャラいからいいのだ!」
「んな!?」
「ぷぷー!振られてやんのー!」


蒼摩がチャラチャラしていることについてはあたしも前から思ってたけどね…。
あたしはどっちかっていうと、
軽くてももう少し悪っぽいやつか、真面目で優しい人が好みだなぁ…。


「アリア!むこうにきれいな場所があるのだ!」


ぴょんっと光牙の肩から降りるとアリアちゃんの手を引いて走りだす羅鬼ちゃん。
子供って、純粋だねぇ…。


「あーあ。とうとう子供にまで言われちゃったね。
 蒼摩。」
「うるせえよ!ホタルだってチャラいだろ!?」
「あたしはこれでもストイックだよ?
 お師匠の影響で、しっかりしてるし。」
「・・・そういや、お前も師匠いるんだよな。
 どんな人だ?」

今更ながら蒼摩が興味津々といわんばかりに聞いてきた。
どんな人、ねェ…?
うん、とうなりながら師匠を思いだす。

・・・どんな人?


「…。
 意地悪で、ひねくれてて、“命は塵芥”なんて言う人だよ。」

咄嗟に出てきたのがそれだった。
今更ながら、師匠を言語化でどう表現したらいいのかあたしにはわからなかった。


「な、なんだそりゃ。」


引き気味の蒼摩。
それが普通の反応だよねぇ。


「あはは!
 だけど…カッコよくて、まっすぐで、闇が似合う人。
 誰よりも命の重さを知っている、誇れる師匠だった。」


もう二度と会うことが出来ない、わが師。
そんな彼を思い返しているうちにあたしは遠い目をしてしまったのかもしれない。
皆が、少しだけ気を使ったような顔をしたのを見てあたしはまたにやりと笑った。


「さ!アリアちゃんたちを追いかけよっか!」
「え、ええ!」







――――



「うわあ!川だあ!」
「ひゃっほーーい!」



岩の間を流れる川を見つけたあたしたちは一旦そこで休憩を取ることにした。
元気よく川に飛び込む蒼摩と光牙。
馬鹿だなぁ…。だけど、たまにははっちゃけるのもありか!


「ひゃー―!つめたぁああ!!!」



水に足を突っ込んでから、脚で思いっきり水を蒼摩に向かって蹴り上げる。
顔に掛かったのか蒼摩があたしに抗議した。


「おまえーー!水こっちにかけんなよ!」
「ふははは!水はかけてなんぼじゃぼけぇえ!!」
「あははは!」


ユナも水かけに混ざって4人でひたすら遊ぶ。
久しぶりに何も考えずに遊ぶと、とても気分が良くなった。


「ん?」


ふと視線を感じて、視線を岸にあげるとアリアちゃんと羅鬼ちゃんが話していた。



「何話してんだろ…ぴぎゃあ!?」


「へへ!おかえしだ!」


ぽたぽたと顔から垂れる水。
犯人である光牙はニヤニヤとあたしを見ていた。
その顔を見て、かちーんときたあたしは手加減なしで光牙に水をかける。


「んにゃろぉおおおおおお!!!!!!!」
「ぎゃああああああ!!!!!」


このあたしにケンカを売ろうとは、一万年早いんじゃボケぇええええ!!!!














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