船酔い、再び






報酬としてご老人に船を出してもらい、
あたしたちはボートで海を渡る。

「ぅおえぇええ…。
 吐く…はくぅうぅ…」

高速で動くボートの上。
あたしは青い顔でボートのへりから頭を出していた。
胃の中が気持ち悪い・・!


「ホタル…大丈夫?」


心配そうに声をかけるアリアちゃんに嘘でも大丈夫ということはできない。
口の中が胃酸の味がする。

「ギもちワ゛ルイ…」
「も、もうすぐだから頑張って!」

ユナが気休めの言葉を言ってくれるが、逆につらい。
終わりが見えないとある程度諦めがつくが、終わりが見えていると逆につらい時もあるのだ。


「また戻って来いよ!うちはいつでもウェルカムだからな!」
「おう!もっとかわいい子が集まるペンションになったらな!」


ご老人に蒼摩が調子づいたことを言っている。
その前に君はペンションで働けるように雑用をできるようにならないとな!
なんて突っ込む気力すらなかった。


「何はともあれ、船に乗れてよかったわ。」
「だな。なんだか今日は疲れる1日だったぜ…。」

黄昏れるユナと光牙。
確かにみんなは今日一日で良く動いたし、疲れがたまっていると思う。


「そうか…。
 あたしは今一番体力使ってるけど…ぅっ!?」


「お前はもう喋んな!」

胃のものが逆流しそうになる。


「フフッ!
でも、楽しかった…。」


楽しそうに目をつぶるアリアちゃん。
あたしはその顔を満足げに見た後で、吐き気と格闘した。









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