お仕事で恐怖!



各人員バラバラに配置について仕事をすることになった。
庭に出たあたしは伸びきった雑草を見降ろして苦笑いをする。

「で、あたしは草むしりか。」


担当は光牙が皿洗い、蒼摩がウェイター、ユナが洗濯物、栄斗が窓拭き…。

うわ、嫌な予感しかしねえ。


「とりあえず、やるかぁ」



指先に燐気をまとわせる。
なにをやるかって?
もちろん!


「積尸気 鬼蒼焔!」


燃やすしかないでしょ!
雑草にも魂…みたいなのは入ってるから燃えるのなんの!
しかも建物に延焼はしないから安全安心!
・・・人間が来たら大変危険ですけれど。


「ふんふんふーーん!」


上機嫌で草を鬼蒼焔で燃やす。
こんなところ、セージ様に見られたら大目玉確実だが居ないのだから問題ない。


「ぎゃああああああああああああ!!!!!!!!!!」

「!」


背後から悲鳴が響く。
しかも近い。


「え?」
「あ・・青い焔!?
 え!?なにこれ!夢!?」


振り向くと見知らぬお兄さんがへたり込んでた。
不味いことにこの光景を一般客に見られてしまった。
腰抜かして震えるお兄さん。



「夢じゃないですよー、お兄さん。」
「っひ!?」


落ち着かせるために近づくあたしを、明らかに化け物でも見るような顔で見る。
…そんなに怖い?


「ほら、立てないなら立たせてあげますよ。」
「あ・・・うぅう・・・・」



情けないぐらい震えるお兄さん。
一旦炎消さないと落ち着かないかなぁ?

なんて思いながら、手を差し伸べてお兄さんを立ち上がらせようとした瞬間



「ひぃいいい!人魂ぁああああああ!!!!」




「あ。」




お兄さんが悲鳴を上げて脱兎の如く逃げてく。
あーあ。変な騒ぎにならないといいけど。
逃げていくお兄さんの背中を見つめながら、思わずため息をついた。



「…お前は何をしているんだ」
「草むしり。
 あーあ、恐がらせちゃったなぁ」



振り向かずにあたしは話す。
どうせ栄斗なのは振り返らなくても解っていた。
それにしても、恐がらせる気はなかったんだけどなぁ…。

「ねえ、栄斗」
「なんだ?」
「…人魂って、恐い?」
「常識的に考えればな。」

大変常識的な栄斗の言葉に唸ってしまう。
あたしはもう慣れてしまったから、恐いとかそういう感情ない。
だが、世間一般的に考えれば人魂は恐ろしいものなのだと改めて実感した。
やれやれ、これだから聖闘士やってると一般常識から嫌でも外れてしまうんだよなぁ。


「ところでさ、今の悲鳴の前に上がった悲鳴の原因ってあんただよね。
 なにしたの?」
「…色々だ」


そっぽむいた栄斗をじと目で睨む。
本当に何したんだ、こいつ。













back
141/69


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -