水平線を眺める





「・・・あー・・いっちゃったね。」



乗るはずだった船が水平線へ向かって進んでく。
ユナが持っていた鞄をくまなく探したが財布は見つからず、結局あたしたちは船に乗ることが出来なかった。
まさか、此処まで来てこんなことになるとは予想外だったなぁ…。


「ごめん…」
「ま、まあ仕方ないって!」
「もうしょうがなって!うん、気にするな!」


俯いて謝るユナをなぐなめる。
もう、行っちゃったものは仕方ないし、悔いてもしょうがないって!


「だが、船がないと先には進めない。」
「何か方法考えねえとなぁ…。」
「泳いで渡るってのは?」
「…どう考えても無理だろ。」

確かに、あたしたちだけならまだしもアリアちゃんがいる時点でその選択肢はなしだ。

「でーすーよーねぇーー!
 ・・・どうするか。」


どうする?
空飛べたらいいんだけど…。
…聖衣きたらこの海わたられるんじゃないかって一瞬思ったけど、無理ですね。
くそ、射手座の聖衣だったら空飛べるのに。


解決策が思いつかず、全員で下を見る。

「船ならあるぞ!」

「え?」
「は?」


背後から聞こえた声に、みんな驚く。
そこにいたのは緑色のアロハシャツを着たご老人。
突然の乱入に固まるあたしたちに、ご老人は続ける。


「俺のボートを出してやってもいいぜ。」

「ほんとかよ!」
「まじでおっさん!」


思わぬ提案にあたしたちは色めいた。
渡りに船とはこのことじゃん!
じゃあさっそく…



「ただし、条件がある」
「条件…?」


…何、条件って。
一気に警戒を強めたあたしたちにご老人は声を潜めた。


「アンタら、助けてくれ」

思わぬ言葉に全員が驚いた。
不穏な言葉に眉をひそめる。



「助ける…?」


どういうこと?









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