凪の時間 しばらくベットの住人として生活し、ようやく歩けるようになった。。 傷口が完全に布下がっていないとはいえ体の方は、だいぶ楽になったな。 動かす分には問題ないが、聖闘士本来の激しすぎる動きをするにはまだまだ時間がかかりそうだ。 だから暇つぶしも兼ねて浜辺で組み手をするシャイナと光牙をテラスで見学をしているのだが… 「甘いぞ!光牙!」 「クッソォオオぉ!!」 「・・・・弱。」 シャイナと、あたしを見つけてくれたテンマにどことなくにてる少年・光牙の修行を見ること早数日。 光牙が弱すぎて見ててあくびが出る。 「だから、俺は聖闘士になるつもりはねえ!」 シャイナに吹っ飛ばれた光牙がそう叫ぶが、シャイナも怒ったように怒鳴り返す。 「何を言っているのだ! お前は聖闘士になるのだ!」 「・・・・それ、何度目の会話な訳?」 ここにきて何度も聞いてる会話。 いい加減、飽きもする。 思わず会話に入ると光牙があたしにまで ![]() 「だってその聖闘士が何なのかすら知らねえんだぜ!? 逆に聞くけどな!お前は聖闘士が何なのか知ってんのかよ!」 「さあ?どうでしょうねぇ――? それよりも、光牙は聖闘士よりももう少し自分を知った方がいいと思うよー。」 自分の中の小宇宙にすら気が付いていない段階で、見習い以下だ。 アドバイスしてあげたつもりだが、あたしの余裕な態度がむかついたのか光牙が地団駄を踏む。 「くっそーーー! ムカつく―ーーーーーーッ!!」 「あははははーーー」 ゴメンよ光牙。 沙織から、聖闘士の事はいわないでくれって頼まれてるんだ。 ・・・・まあ、あたしは意地が悪いから言われなくても教えてあげないけどね。 「光牙! しゃべってる暇があるならこちらに集中しろ!!」 「ぅわああ!!!」 よそ見をしていた光牙にシャイナのストレートパンチが綺麗に決まった。 あの程度の軌道も読めないなんて、まだまだだな。 ―― 「…小宇宙の才能はあるんだろうけどねえ。」 「ええ。 それを自覚していないんです」 二人の修行…もといシャイナが一方的に殴ってるだけの茶番に飽きて、あたしはテラスで沙織さんとお茶していた。 「それじゃ、無いに等しいよ。 あるだけだったら意味はない。 それを引き出してこそ初めて意味あるものとなるんだから。 あれはただの宝の持ち腐れだよ。」 「手厳しいですね」 「師匠が厳しかったですから。 問答無用で、黄泉比良坂に送られましたよ」 「まあ…」 沙織さんは、良くあたしの話しを聞いてくれる。 あたしが一方的に話すだけだけど、文句ひとつ言わず聞いてくれるから嬉しい。 「そのうち、光牙に修業を付けてもらえませんか?」 「別に、構わないよ? 死んでもいいのなら」 積尸気使いの師匠の直伝なので、あたしの修行はぎりぎり死なない…というか半分死んでいるような修行法しかやってきてない。 今の光牙が受けたら、多分戻ってこれないと思う。 「ちゃんと戻せる範囲にして下さいね。」 「はいはい、わぁってますよ。」 本人が知らないうちにこんな会話されてるんだから、光牙も災難だな。 まあ、問答無用ですけどね! ← → back 141/5 |