実行前の休憩! 「スゥ・・・スゥ…」 満天の星空。 あたし達は適当な岩場を見つけて、 今日はそこで野宿をすることにした。 「アリアは、疲れて寝ちまったのか?」 「ああ…。この子には不慣れな旅だったから。」 そういって、自分かけていた布団をアリアにかけてあげる光牙。 優しいなァ…。 「! 光…。 …この子も何か、過酷な運命を背負ってるのかもな。」 あたしは、ユナが座っている岩に寄りかかる。 こうしてると、昔よく修行のために野山に放り出されたことを思い出す…。 「何も背負ってないやつなんていやしないさ。 それが軽いか重いか…。 ただ、それだけさ。」 「ホタル…。 …この子は、護ってあげなきゃ。」 「当たり前でしょ?」 「アリアの星は、どれかしら?」 不意に、空を見ていたユナがそう呟いた。 そうだ、ユナは星を読むことができるんだっけ。 「また星を読んでいるのか、ユナ?」 「ええ。 あたしは星を見るのが好きだから。 星の動きで、色んなことが分かるから…。」 「そういや、パライストラにいる時も俺の星を読んでもらったな…。」 へえ…。 蒼摩が星読みしてもらうなんて少し意外に感じた。 「へえ、それって星占いかよ。 蒼摩っておとめチックな趣味あるんだな。」 「ば、馬鹿野郎!自分の星座を気にするのは当たり前だろ!? 死と隣り合わせの聖闘士は、守護星座に守られてるんだからな!」 「確かに、星読みって馬鹿に出来ないよね…。 あたしも、何度も星が流れてくのを見た。」 そして、自分の星座に、星が流れていったのも。 そういや、あの数日後にあの任務についたんだったっけ? 「…おれの守護星…ペガサス…。」 光牙が空を見上げた。 あたしもつられて星を見る。 あーあ。あたしも星読みができたらなァ? そうしたら、セージ様のお役に立てたのかなぁ。 「光の道…。その先に俺の答えがあるのか? 沙織さんは知っていたのかな?俺の小宇宙が光だという事を…?」 「知ってたんじゃねえか?沙織さんって人がアテナなら。」 「そうよ、アテナは全てを見守っててくれてるんだから。 私達の事も、この世界の事も…。」 「あんたの育ての親が、あんたの事を知らない訳ないでしょ?」 「・・・・そういや、よくオヤジが言ってたなあ。 “アテナを守ることは地上の愛と平和を守ること”だって。」 「あたしもお師匠のお師匠様によくそう聞かされたよ。」 マニゴルドには言われたことないけれど、セージ様にはそんなこと耳にたこができるほど言われたっけなァ…。 すっかり忘れてたけど。 「愛と、平和…。」 立ち上がって、空を仰ぐ光牙。 その目は、まっすぐに光っていた。 「沙織さん、俺はきっと見つけ出すよ。 そして今度こそ!俺がきっと助けてみせる!」 ふと見上げた空に、六つの星座と、 中心で輝く星が見えた気がしたのは、あたしの目の錯覚だろうか? ← → back 141/53 |