信頼



「ねえ、いったい何を考えてるの?」


光牙と別れて、あたしは龍峰といっしょにいた。
とはいっても、いつでも攻撃できるようにすぐに聖衣を着れるように構えてたりするけど。


「南冠座は・・・」
「ホタル。
 さっきまでそう呼んでたでしょ?」


先生の前だけはやめて欲しいんだよね。
一応、まだ友人じゃんか。

「・・・・・。
 別に、僕にとって停学は不都合だからこれを提案しただけだよ。」
「嘘付きは泥棒の始まりだよ。
 光牙の事、売ったように見せかけてあたしのこともかばってくれたじゃん」

さっきまで、ずっと考えてた。
龍峰が何を考えてたのかを。
でも何となくわかった。
どうして、あんなことをいったのか…。

「あたしはさっきの茶番は決闘による危機的状況によって、
 属性を光牙が目覚められるようにするため、だと思ってるけど?」

だって光牙の事凄い気にしてたし。
理由までは分かんないけど、そんな所だと思うんだけど…。
そう問いかけると、固かった龍峰君の顔が柔らかくなる。
困ったように笑う龍峰君に、あたしも意地悪く笑いかけた。

「そこまで分かってて聞くなんて、ずるいや。」
「性分からいじわるなんで。
 それに、そっちだって大して変わんないでしょ?」

あたし以上に腹黒い気がするんですよねー。
てか、可愛い顔して絶対中身真っ黒だって。

「まあ、一応救われた身分としてはこれ以上何も言わないけどね。
 光牙の事は、舐めない方がいいよ。
 一筋縄でいくような子じゃないから。」
「…忠告、有難く受け取っておくよ。」

それ以上なにもいわないで、二人で並んで決闘場所までいった。
すると見覚えのある二人が光牙の近くに立っていた。


「ユナ!蒼摩!
 どうしているの?」

どこでこの話聞いたんだ!?
伝わるの速くない?
二人に駆け寄ると、蒼摩がちょっと怒ったように話しかけてきた。


「ホタルこそ、どうして龍峰と一緒に来るんだよ!」
「少し聞きたいことがあってね。
 積もる話は後にしてとりあえず試合観戦と洒落込もうよ。」
「おい!」

ぐいぐいと蒼摩とユナの背中を押すと、
呆れたように光牙が叫んだ。

「おまえ…緊張感ねぇ―――!!」
「いいじゃん。
 それだけあんたを信じてるの!
 光牙なら、出来るから!」

二人の背中を押しながら、光牙を流し眼で見る。

「!
 ちゃんと、見てろよ!?」
「わかってるって!」

意味深なアイコンタクトをかわして、 
あたしは蒼摩とユナの背中を押して端によけた。








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