ルームメイト




そのあとも長い長い時間校長代理の話を聞いていて、解放されたあたしは腕を伸ばす。
無駄な話を聞いていたせいで肩が凝ってしまった。

「や―っと、解放された――。」

指定された部屋に行く。
どうやら、そこがあたしの部屋になるらしい。
どんどんどん、とノックをしてから扉を開ける。

「失礼しま――す。」
「あなたは…」


そこにいたのはさっき試験であった仮面の女聖闘士。
成程、この人と相部屋なのね。


「ああ、どうも。
 ユナさん、だっけ? 
 あたしはホタル。
 今日からこの部屋に住むことになったみたいだから、よろしくね。」
「…ユナでいいわ」
「そっか。
 じゃああたしも呼び捨てでいいよ。」


空いているベットに適当に荷物を下ろした。
あー、お風呂にでも入りたい。


「ああ、そうだ。
 ご飯食べる約束してたんだっけ?」

その前までにはいらないとなぁ…。
ゆっくりお風呂に入る時間なんてなかったから、少しくらい身を浄めたかった。

「ねえ、湯あみってどこですればいいの?」
「そこに、簡易シャワー室があるから使っていいわ。」
「・・・しゃわー?」

聞いたことない単語を聞き返す。
なんだろ、それ?
まあいいや、早く使っちゃお。


「…これは、どう使うの?」


いわれた所に入ったけど、狭い部屋に何だかわからないものが置いてあるだけのとこだった。
とりあえず、引っかかっていた縄らしきものを手に取る。
先端には穴が開いている部品が付いていた。


「縄?
 蛇、じゃないよね?」


なんか、変な所につながってるみたい…。
何コレ?回せるみたいだけど…。




キュッ


ザアアアアアア





「うぎゃあああ!!???
 つめたああああああああっ!?」


穴が開いていた部分から勢いよく冷水が噴き出す。
突然のことに驚いたあたしが叫んだ声を聞いて、ユナが飛び込んできた。


「どうしたの!?」

途切れない水を抑えつつ、ユナに半泣きであたしは助けを求めた。

「な、なんか水が!!!
 しかも止まらないし!」
「何で冷水を出してるの!?
 温水は、こっち!!」

いわれたとおりに変なものを回すと水が止まり、今度は適温のお湯が出た。
お湯に硬直した体の緊張がほぐれ、ようやく一息つけた。

「・・・なにこれ?
 なんかすごいね。」
「シャワーを知らないの…。
 だったら、仕方ないわね。」

アテナのところだと、井戸で体浄めてたから知らなかった。
こんな便利なものがあるなんて、随分と発展したんだなと感心してしまった。

「今はすごい便利なんだね。
 井戸の水は冷たくて大変だったよ。」
「まるで、昔の人間みたいなことをいうのね。」
「・・・・そんなものでしょ。
 あー、凄い気持ちいい。」
「そう、よかったわ。
 それじゃあ、ごゆっくり」

ユナの気配が遠ざかる。
それにしても便利だな…。
昔にも、これがあったらいいのになあ。

「あー、さっぱりした」

体を一通り浄めて、体を拭く。
ガシガシと頭の水気をタオルでとりながら、部屋で本を読んでいたユナにお礼を言う

「ユナ、ありがとね。
 おかげで助かったよ。」
「気にしなくていいわ。
 わからないことがあったらまた聞いてちょうだい」
「うん。そうするね」

相手もそれ以上何もいうそぶりは見せないので、
新しい服に着替えて外に出る。
光牙たち、もう食堂ついちゃったかな?






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