初めて決まった!




「ダークミスト!」
「!」





マンティスが繰り出した技であたり一面が真っ黒になり、視界が利かない。
近くにいたはずの光牙たちの姿すら見えなくなった。


「これが火星士の力!
 お前らはただ闇に同化した俺になぶられ死んでいくのだ。」
「…成程ね」


厄介だなぁ。
冥界破で、あいつを黄泉坂にまで連れていくのもありだけど、そのためにはまずあいつをとっ捕まえないといけないし…。
しかも、こちらからは見えなくともあちらからは見えているのか正確に攻撃を仕掛けてくる。

「厄介だな…」


闇に同化した拳をよけ続けるのも時間の無駄だし、こちらが不利になる一方だ。
しゃあない、まずは鬼蒼炎で…。

「!」


今まで弱弱しかった、光牙の小宇宙が、増大されてく・・・。

「…これだったら、手を出す必要性ゼロかな?」


あたしは出しかけた炎を、消した。
爆発する光の小宇宙は、とても心地よかった。
照らされて姿を表した敵を、二人が見逃すわけがなかった。


「今だ!蒼摩!」
「ブレイブスピラー!」


炎の拳が、あいつの体に鋭く入る。
発火するその体…あの調子だったら、魂は燃やさなくていいかな?

「ぐああああ!!!」

綺麗な放射線描いて飛ぶあいつの体。
あれは、完全に決まったね。
でも、生きてるだろうなぁー。
なんかタフそうだし。


「マジか…うてた!!」
「?」


え?いま蒼摩君、技をうてたことに喜んでませんでした?
聞こえなくて首をかしげる光牙と信じられないものを見る目で見るあたしに気が付いた蒼摩が慌てたように取り繕う。


「ッぁ…こほん。」
「おいおいおいおい…。」

…初めてできたんかい!!!
何だよ!あんなかっこつけておいて!
てか、実戦で出来るとか羨ましいわ!
あたしは本番弱いから実践だとし失敗しまくるのに!


「ッぐ…」


そんな茶番をしていると、起き上がった敵が一瞬で逃げてしまった。

「あ、まちやがれ!」

しまった…。
気をぬいてあいつのこと忘れてた。
まあいいか。あのレベルの奴なら放置しておいても。

「ってまあ、言うほどこっちも力残ってねえけどな。」
「その時はあたしが仕留めるよ。
 でも…その必要ないみたいだけどね。」

もう一つの小宇宙。
あれは、あたしらを殺りに来たんじゃない。
アイツを始末しに来たんだ。

「前言撤回だ。
 たてよ!ペガサス光牙。」
「…ああ!さんきゅーな!
 仔獅子座の蒼摩!」

手を取り合う少年たちは、とてもまぶしい。
…あついねえ。
やっぱ聖闘士は、こうじゃないと面白くないね。


「あたしのことも、忘れてない?
一応一緒に戦ったんだけどなあー?」
「わかってるよ!
 南冠座ホタル!」

「よろしい!
さて、先に進むとしますか!」
「早くね!?」

文句を言う光牙の後頭部を軽く叩く。
兵法の基本を理解してないな、君。

「なあに言ってんの!
此処に居たら新手がくるわよ!
ほら!いくよ!」

「「鬼ッッ!」」

鬼で結構!
今死なれても、面白くないんだから。

この先が読めない展開を楽しみ、
あたしはくちの端を上げた。






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