争い




夜になり、森の中で野宿することにしたけど、昔から野宿は好きになれない。
てか、そんなものが好きな野性児も中々いないでしょ。


「あんたは、いつから修行してるんだ?」
「本格的なのは、パライストラに入ってからだな。
そっちは?」
「あたしも、師匠に弟子入りしてまら本格的に始めたんだ。」


修行というよりかはほぼいじめに近かったけどね。


「俺は、真面目にやってなかったから…」
「反抗ばっかしてたよね。」
「うるせえよ!」
「まぁ、人に押し付けられてやるもんでもないしな」
「確かに、やる気ないんだったら辞めた方が得策だよね」


もっとも、あたしの場合反抗でもしたら問答無用で殺されるけど。

「…あんたは、どうして聖闘士になろうとしたんだ?」
「俺か?
 俺は……」



その時、たき火は不自然に消えた。
いよいよ、しかけてくるみたいだね。


「誰だ!!!」


「フフフ。
 ずっとそばにいたんだが、やっと気づいてもらえたみたいだな。」


暗闇の中で、声が響く。
ようやくお出ましかぁ…。


「どこだ!
 隠れてねえで出てこい!」
「フハハハハ!
 威勢だけはいいようだ。
 もっとも、実力はともなっていないようだが…。」


闇の中から、一人の男が出てくる。
見たこと無い姿…。
冥闘士でもないみたいだし、やっぱりマルスの手下なんだろうな。


「貴様…あいつの仲間か!」

蒼摩が一気に燃え上がる。

「アイツ?」

マルスか?
いや、今の口ぶりだとちがうみたいだった。


「あいつ?
 何の話だ?俺はマルス様の配下。
 火星士の斥候部隊。マンティスのオルメキア様だ。」

かっこつけて自己紹介してもらって恐縮ですけど…

「…自分で様付けしてる時点で、雑魚っていう事を教えてるようなもんですよ。」


うぬぼれが強いやつほど、弱いっていうのは昔からの定番なんですよ?


「ほざけ!
 …貴様らの様な弱者など、マルス様の手をわずらわすこと無くこの俺がなぶり殺してやる。」
「く・・・・仔獅子座聖衣!!」
「!」


蒼摩がクロストーンから聖衣を着る。
どうやら、蒼摩が戦うみたいだ。
因縁あるみたいだし、あたしが手を出すこともないかな?


「これが、仔獅子座の聖衣…」
「おらあああ!!!」


蒼摩が相手に向かってパンチを繰り出すが、直線的なパンチだった。
あんなの、カウンター下さいっていってるようなもんだ。
頭に血が上ってるな、あれ。


「ふんっ!」
「うわあ!」


懸念通り地面にたたきつけられる蒼摩。
聖衣つけてるし、あの程度で死なないとは思うけど痛そう…。


「蒼摩!」
「光牙!危ない!」


あたしの注意と同時に、あいつは光牙を簡単に地面にたたきつける。
聖衣なしで、あれはきつい!


「っ!」



今度はこっちに向かってきたアイツの攻撃を、よける。
聖衣を付けていない分、不利だ。


「ほう!お前はあの二人と違うらしいな!
 だが…ハァ!」
「!」

右の拳をガードして、開いた腹部に蹴りが決まった。

「っきゃ!」

ドガッ


「ホタル!!」
「だいじょぶ!」



飛ばされて、木に激突したけど大して痛くはない。
むしろ、光牙の方が心配なんですけど。


「どうした、弱虫共。
 三人まとめてかかってこい!」

「…クソが。
 南冠座聖衣!」


そんなにあの世に行きたいんだったら、望み通りいかせてやるよ!
聖衣を着たあたしが、あの世の魂を引きずりだそうとしたき蒼摩の鋭い声が止めた。


「手を出すな!!」
「!」

蒼摩が繰り出した火の玉が、あいつめがけて飛んでいく。
もちろん、あたらなかったけど。


「こいつは…こいつらは俺の獲物だ!」


「冗談言うな!
 こいつがマルスの手下なら、俺の敵でもあるんだ!」

「そーだそーだ!
 そいつには、けりのお返しまだ返して…

 ねえんだよ!!!」


相手の攻撃をカウンターで返す!
必殺!ジャンピングストーンもどき!
は、あいつに綺麗に決まった。

やったね!


「っぐ!?
 何だ、この蹴りは!」
「ふはは!どうだ!
 伊達に何発もエルシドからそいつを喰らってないんだからね!」


見よう見まねだから、もどきでしかないけれど。
本物は威力はあんなレベルじゃないけど。
てか、あんなの出せねーから、普通。

「つぎは光牙!
 あんたが殺る番だよ!」
「お、おう!」


光牙は、あの石の聖衣をまとった。
ホント、今の世は便利としか言いようがないね。

「っ!?
 なんだこれ…体が自由に動かない。」

って、アホかぁああああ!!!
何で小宇宙燃やさない訳!?
そんな状態でまとっても、体なんて自由に動くわけがないでしょうがぁああ!!!


「だから言ったんだ!
 ろくに小宇宙燃やせないやつはすっこんでろ!」
「なにしてんの!?
 アホだろ、おまっ!
 さっさと小宇宙燃やせエエエエ!!」

蒼摩と同時に、光牙にキレる。
あの子、絶対アホだ。


「ふざけんな!
 俺だって…」

「何が出来る?」

動けないで、もろにあいつの攻撃を受ける光牙。
もう、こっけいとしか言いようがない。


「アホォオオぉ!!!!
 口答えする前に小宇宙もやせやあああああ!!!」



マンティスがとどめのための最後の技を繰り出そうと構える。
あれは、まずいかな!


「光牙!!」


ドカァアアン


爆音と、閃光。
あたしを目を瞑ってそれをやり過ごした。


「んんー?」
「蒼摩!?」


煙が晴れるとボロボロの蒼摩が立っていた。
もしかして、あの攻撃を受け止めた!?
アホだろ!どうして迎え撃たないの!?

…技量が足りなくて、そこまでできなかったとかだったりして。

とか言ってる場合じゃなくて!


「大丈夫!?
 今すぐにヒーリングでなおすから!」
「いいっ!
 それよりも!」

「ひひっ!
 友情ごっこで共倒れか?」


蒼摩が繰り出した火の球をあっさりよけて話し続ける。
あいつ、むかつく!


「根性だけは一人前だな。
 では俺も、本気を出してやろう。」










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