味方とまゆげ




白羊宮の中に入ると、なんか草原が広がってた。
記憶にある白羊宮と全く違くてびびったんだけど。
あたしの知ってる白羊宮ってこんなファンシーで自然あふれるところではなかったんだが!?


「!」


そんな草原の中心にいたのは、すさまじい気配を放つ青年。
顔は陰になっててよく見えないけれど…雰囲気で分かる。



「牡羊座の聖闘士か…。」


その青年は声を響かせた。
青年に促されてそちらを見ると青い空に、
穴が開きそこからなにやらよく分からない輪っかがあった。



「あれは時のリング。」
「時のリング?」
「時のリングが12時間をさし終えるまでに黄金聖闘士が守護する12宮を突破し、
 マルスが待つ最上階に行かなくてはならない。」

「!?
 なにそれ!?無理だろ!?
 一日あっても12宮突破できるかわからないのに…それを12時間で!?」


あたしの言葉に、牡羊座の聖闘士は淡々と告げた。



「もし突破できなければ…地球が滅ぶ。」

「地球が…!?」
「なんつう無茶振りだよ…!?」


前の聖戦でも知っている限り、ここまでの無茶振りはなかなかなかったぞ!?


「見るがいい。」


青年の力で、地面が輝く。
そして草原から一変し、地面は太陽系を映し出した。



「太陽系?」
「なにこれ?」


その光景を眺めていると、地球から光が出て火星に降り注いだ。
そしてその光は火星を地球が話へと呼び寄せ始めた。


「地球からの光が火星を呼んでる・・・!?」
「火星が地球の方へ!」
「まさか地球とぶつかるのか!?」



え!?まさかそういう系の滅び!?
火星がぶつかって来るとかどういうことだよ!



「いや、違う!
 火星が地球と太陽の間に…!?」


赤黒い色をした火星が、地球と太陽の間に入った。
あれじゃあ…




「地球に光が届かないじゃん!?」
「そう、火星は太陽の光を覆い隠す。」
「覆い隠す!?」

「そうだ。地球は永遠の闇になり、滅びの星となるのだ。
そして火星は、新たな新天地となる。」



な、何だその無駄にグローバルな話は…。
それだったらまだハーデスみたいに人類滅ぼすだけのほうがまだマシじゃん!
いや、だめだけど!
だけど…惑星丸ごと滅亡させるって!?



「時は刻まれ始めた。
 どうする!若き聖闘士たちよ!」



「くっ…!
 要するに俺たちには時間がない!
 行くには、あんたたち黄金聖闘士を倒さなくっちゃならないってことか!」
「その通り。」
「だったら御託はいい!
 行かせてもらうぜ!」
「あ、ちょ!?」


光牙が考えもなしに牡羊座にとびかかった。
ってお前!ほんとうに待て!
黄金聖闘士に何の考えもなくケンカ売るなぁあああ!!!!


「ぉおおお!!!ペガサス!流星拳!」


光牙の流星拳がぶち当たる。
しかし、牡羊座の聖闘士はそれを真っ向から受けても、
蚊ほどにもきいた様子は見せなかった。


「ペガサス流星拳・・・。
 久しぶりだな。
 だがこの程度の小宇宙では黄金聖闘士に通用しないぞ!」
「!」



光牙の攻撃を跳ね返して、光牙を地面にたたきつけた。
すぐに光牙も立ち上がり、攻撃しようとしたが相手はそれを上回る速さで光牙の懐に潜り込むと



「だが!」
「ッぐは!?」

「ぅわ…」


見てるこっちがいたくなりそうになるほどきつい腹パンが光牙に決まる。
あれは…いたい。




「恐れずに立ち向かうその心・・・。
 この先必要になる。
 決して忘れるな。」


腹パンを受けて、倒れこみそうになる光牙を殴った手を広げて支える牡羊座。
もしかして…こいつ


「あんた、俺たちの敵じゃないのか?」
「あぁ。
 私は君たちの味方だ。」
「!」


顔を隠していた影が消え、そうして見えたニヤッと笑った顔。
その顔にあたしは絶句した。




「麻呂眉毛…。」














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