前しかない道




「ぅあ…!?」


飛ばれてた感覚で目を覚ますと、天には青い空と天へと上るらせん状の回廊のようなものが見えた


「ここは…。」


周りを見渡せば、みんながいた。
ボロボロのみんな。
その中に、アリアちゃんの姿はない。


「アリア、ちゃん…。」


あたしたち…アリアちゃん一人置いてここに来てしまったんだ…。
あんな暗くて、寂しい場所に…一人で…。


目頭が熱くなる。
涙がこぼれそうになった。



「ホタルさん、目が覚めたんだね…。」
「龍峰君…」


龍峰が、力なく微笑む。
あたしは何かを言う気力もなくて…それを一瞥して空を見上げた。



「天を目指すバベルの塔か…。」


らせんの形を描いて宙に浮く回廊は、まさしくバベルの塔に見えた。


「そのまま雷に打たれて崩れてしまえ。」


それは、ただの悪態。
だけど言わずにはいられないな…。

なんて、無気力に空を見上げていると光牙が起きる気配がした。



「ここは…?」
「分からない…。
 ただ、私たちは闇の遺跡からバベルの塔から天へ延びるこの道に運ばれてきたらしいわ…。」


キラキラ光る、アリアちゃんの体が脳裏に浮かぶ。
あの力であたしらは…


「アリアの…最後の、最後の力で…」


・・・悔やむ言葉すら出てこない。
己の無力を、たたきつけられた絶望感。
そして、失ったもののデカさを痛感する喪失感・・・。

それは、何度体験してもなれないし、慣れたいともおもわないけれど…。




「…行こう。」



俯き、そして悔やむあたしたちの先に立ち、光牙はそう言った。




「アリアが…残された力すべてを使って俺たちをここに運んでくれた。」




“行って”

そう願ったアリアちゃんの顔が思い出される。
あたしはハッとなって光牙の背中を見た。



覚悟を決めた男の背中・・・。



「俺は、俺たちはこの道を進むんだ!
 前へと進まなきゃいけないんだ!」



・・・そう、だよな。
こんなところで、後悔してる暇なんて




「あるわけ、ないよね。」




あたしは光牙の肩をたたくと、その隣を歩いた。



「あんたの言う通り、進もうか。
 それがアリアちゃんの願いなんだし。」



にへら、と普段通り笑ってみせると光牙もうなずいた。
後ろで皆も決意していた。



「さあ!行くぞ!」



あたしたちは、長い階段を上り始めた。











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