条件 「さてと、そろそろ行くかぁ。」 しばらく蒼摩と話していたが、ゆっくり立ち上がるとズボンについた土を叩いて払う。 「あんた、ここに何しに来たんだ?」 そんなもん、決まってる。 あのでかい小宇宙を調べに来た斥候、ってところだろうね。 問題は、それを誰が指示したかだけど。 アテナ以外の、誰が。 「ああ…。 パライストラの指令でちょっと。」 「パライストラ…なんだそりゃ?」 「お菓子の名前?」 「ちげえよ。 …そういや、お前らなんか知らねえか? 数日前、ここいらで大規模な小宇宙の爆発が起きたんだ。」 「!」 「やっぱりね…」 指令の主は、パライストラ。 人の名前か組織の名前かな? 聖闘士に指令するんだからアテナと関係してるだろうけど。 「お前ら、何か知ってるのか?」 「沙織さんが・・・・アテナがさらわれたんだ。」 俯いた光牙の言葉に、蒼摩が目を見開く。 「!? アテナがさらわれた!?」 「うん…」 思い出すだけで、ムカつく。 力さえ戻ってれば、あんな奴に…いや、アテナでさえああだったんだ。 勝ち目はなかっただろうが…一矢くらい報えただろうか? グッと考え込むあたしたちに、蒼摩は首を振った。 「悪いが、お前の言う事は信じられねえな。」 「!? 何だよ!俺が嘘をついてるとでもいうのかよ!」 掴みかかろうとした光牙の肩を掴む。 知の毛が多いのは構わないけれど、落ち着きなさい。 「落ち着ちなって光牙。 蒼摩にも、考えがあって否定してるんだよ。」 じゃなきゃ、そう簡単に今の話を信じない理由がない。 つまり、今の話を信じないなにかしらの理由があるに決まってる。 「じゃあどんな考えだよ!」 「…そうだな。 俺がアテナの居場所を知ってるからだよ」 「「!?」」 予想外の言葉にあたしたちは驚く。 沙織の…アテナの居場所を!? あたしが聞くよりも早く、単細胞な光牙はあたしの手を払いのけて蒼摩に掴みかかってた。 どん、と光牙が蒼摩の上に馬乗りになった。 「どこだ…アテナは何処だ!」 「い、いきなりなんだよ!!」 「っちょ、落ち着きなよ! それじゃ話聞こうにも聞けないじゃんか!!」 慌てて光牙の肩を引いて引きはがそうとするが、頭に血が上った光牙は意外と力強かった。 「あ・・・悪い。」 一気に冷静になったのか、バツが悪そうにすぐに蒼摩の上から下りる。 ったく、手間がかかるんだからなぁー。 「・・・・・・教えてやってもいいけどよ。」 地面に座りこみながらも、人の悪い笑顔を浮かべた蒼摩。 …絶対、こき使う気でいるな。コイツ。 「その代わり…」 ← → back 141/11 |