嫌な予感





エデンが、光牙を天井にめり込ませた。
おまけに雷の技くらわすなんて…あの雷くらったら少しの間動けないだろうなぁ…。


「どけ、ホタル。」


あたしはエデンと真正面から向き合う。
あーもう、ほんとに戦いづらい。
自分相手してるみたいだしさぁー…なんて言ってる暇ないんだけど…


「どけって言われてどくほど、あたし素直な性格してないんだけど。
 どかせたきゃ、死ぬ気でどかしてみろよ!」


そういった瞬間、あたしがいた場所に雷が落ちる。
それをバックステップで回避し、指先をエデンに向けた。


「積尸気 魂葬破!」
「ッく…」

エデンの周りが、魂の爆発によって抉れる。
しかしエデンは爆発によってできた爆煙を突き破って、あたしに突進してきた。


「おいおい…!
 いきなり女の胸に突っ込むなんて野蛮だろ…!?」
「黙れ…!
 貴様がアリアを誑かせなければ…!」


鋭い蹴りが、鼻先をかすめる。
間合いが近すぎて不用意に攻撃できないなぁ…!



「責任転嫁もいいところだ!
 諸悪の根源の味方が何言ってやがる!」
「父上を侮辱するな!」
「侮辱!?
 事実だろう!?」


あたしは、エデンの胸ぐらをつかんだ。
エデンの顔を、思いっきり睨み付けた。


「てめえの親父がこんなことしなければ…アリアちゃんはここまで傷つかずに済んだ!
 事実から目を背けているのはてめえだろ!
 それをあたしらのせいにするんじゃねえ!」
「…ッ!
 黙れ…!黙れッ!」
「ッ!」


エデンの雷を帯びた拳が、あたしの顎に思いっきりぶつかった。



ドォオオオオォオオンッ




階段に思いっきりぶつかって、あたしはがれきに埋まった。
その衝撃で頭ぶつけて、体が動けなくなった。



「ッぅ…」



しばらくたって、なんとか動けるようにはなったけど…いってぇえ…!
言葉で勝てないからって暴力とか!あいつ最低だろ!?




「ッつぅ…あいつ…ぜってえ締める!」



上に乗るがれきをどかして、あたしはなんとか這い上がった。
…あーもう、クソ痛い。


「まさか、あのタイミングで殴られるとは思わなかったぜ…。
 どちくしょ…!」

…っち、エデンの奴。
あたしを放っておいて上に行きやがったな…。
いつの間にか光牙もいないし…早く上に上がったほうがいいかな?

そう思って階段を上ろうとしたとき



ゾクッ



「…?」


今、一瞬何か嫌な感じがした?



「…何だろう、嫌な気がする…」


この時代に来て、嫌な予感がすることはたくさんあった。
だけど、それとは何か違う。
もっと、異質な感じ…?


「…早く、上に行った方がいいな!」


あたしは階段を俊足の速さで駆け上る。
何にもないのが、一番いいんだけど…。













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