どんな顔?



光牙とシャイナを置いて先を歩く。
もちろん、聞き耳を立てるような真似はしないけれど…気になる。


「なんだか、気になってるみたいね。」
「あ、顔に出てた?」


ユナに言われて、わざとらしく顔を触ってみた。
…あ、表情筋固いかも。


「ホタルは光牙のことになるといつもそんな顔してるわよ?」
「そんな顔って…どんな顔だし」


そんな変な顔してたかなぁ?
首をひねるとユナが笑った。


「心配そうな顔よ。
 そんなに心配?」
「…まあ、助けられた恩もあるし。
 こっち来てからは一番付き合いが長いからね」

なんだかんだで、命を救ってくれたのは光牙だった。
あの雨の日に光牙があたしを見つけてくれなかったらそのまま2回目の遂げていただろう。


「助けられたって…あの光牙にか?
 どっちかつうとお前のほうが助けてそうだけどよ。」
「あはは。
 そーかもね。
 でも最初に助けてもらったのは、あたしだしさ。」

こうして旅ができるのは間違いなく光牙のおかげだ。
だからあたしは光牙の力になりたい。


「あと…それとは関係なしに弟持った気分。」


“師匠”とか…そういう人だったらいたけど、
自分の下に誰かがいたことなんてないからなぁ。



「「それはわかる。」」


ユナと蒼摩の強い肯定に笑ってしまう。
あの子はどんだけ愛されているんだろうか。


「でしょー?
 だからさ、ほっとけなくてね!」


それに弟子にはなんだかんだ甘かったセージ様の姿見てきたから…
ちょっと過保護になってる部分もあるかもしれないなぁ。


「それとは関係なしに、俺にはお前が光牙に惹かれているようにも見えるな。」


真面目な顔して何言ってんだお前は。
信じられないものを見る目で飛んでも発言をした栄斗を見る。


「ちょ、その言い方じゃまるであたしがあいつに惚れてるみたいじゃん。
 冗談きついわぁ…死んでみる?」

「誰もお前があいつに惚れてるなんて言ってないだろう。
 そういう意味ではなく…もっと本質的に引かれているというのか…?
 すまん、自分でも何が言いたいのかわからん。」

自分で言っていて何が言いたかったのかわからなくなってしまったのか、栄斗が謝罪する。

「って分かんないなら言うなって!
 ビビったじゃんか!」


栄斗の頭が本格的におかしくなったのかと思ったよ!
…でも、“本質的に惹かれてる”っていうのは気になるなぁ。

追求しようにも、栄斗自身意味分かってないから無理だし…。


「……」



それは置いといて、あの子たちは何の話してるのかな?
ちらりと後ろを見るが、二人の会話が聞こえるわけもなかった。


















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