宙ぶらりんなら、そこから一回転してみよう





「アリア!!!」
「アリアちゃん!」


あたしたちはアリアちゃんがいるらしい部屋のドアを思いっきり開けた。
だけど、そこにいたのは龍峰と栄斗と…知らない女の人。
アリアちゃんの姿は…どこにもなかった。


「…え?」
「お前たちも来たのか…。」

「これは…いったいどういうことなの?」


ここはアリアちゃんがいるという部屋なはず。
どうして…アリアちゃんがいないわけ?


「説明は後だ。
 今はとにかく、下で闘っている蒼摩と合流しよう。」
「…うん。」
「あぁ。」

一体…何があったんだろうか?
そんな疑問を抱えつつ、あたしたちは蒼摩のもとに走った。






――

外に出ると、蒼摩が一人そこに立っていた。


「蒼摩ーーー!」
「蒼摩ーーー!生きてる―ーー!?」


だいぶド派手に戦ったみたいらしく、周りのものがだいぶ壊れていた。


「大丈夫か?」
「あぁ。なんとかな。」


すっきりしていない蒼摩の顔に、どうやら、決着はつけられなかったみたいだね…。
なんて声をかけようかあたしが悶々と悩んでいると、蒼摩が何かを蹴った。



「ん?」
「これは…!?」
「クロストーン?」


蒼摩が拾い上げたのは、十字の形をしたクロストーン。
それ…誰の?


「これは、親父のクロストーン・・・!?」
「!」


蒼摩のお父さんの…?
何でこんなところに…。



「…疑問はいろいろあるかもしれないけど、とりあえず一度ここを離脱しよう。
 それから説明するよ。」




龍峰君に言われて、あたしたちはとりあえずマルスの城から離れる。
少し離れた崖の上で事情を聴いた。


「え、それじゃあ…!?」
「ああ。
 アリアはすでに、ここを離れていた。」
「お付きの人の話だと、エデンと一緒に雷の遺跡に向かったって」
「一足…遅かったわ」
「入れ違いってことか…。」


しょうがないにしても…歯がゆいな。
折角あそこまで行ったのに…



「蒼摩、お前これから?」
「安心しろよ。
 一緒に行くぜ!」
「おぉ!ようやくか!」


蒼摩がいないとなんかつまらないんだよねぇ―――!
これで少しは面白くなるかな!?



「…まだ、何もかも宙ぶらりんの状態だけどな」


蒼摩が、手のひらに置かれたおとうさんのクロストーンを見つめる。
…辛いよね、誰かの遺品を見るのって。



「…だったら、その宙ぶらりんの状態を打開するしかないんじゃないの?」
「…それもそうだな」



蒼摩のことも気になるけど…何よりも今はアリアちゃんのことを優先すべきなんだよね。
無事だと、いいんだけど…。


あたしは心の中で無事を祈りながら、夕焼けに染まりかける空を見上げた。

















back
141/104


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -