だからあたしは進むよ



地に伏せるペルセウス。
あたしは龍峰とともに並んで、そいつと話す。



「なぜ、メデゥーサの盾が…。」
「…水は、どんな形のもなる。
穏やかな水や、激しい滝にもね。
 過圧された水は、ダイアモンドも切断するという。」



へえ、水ってそんなにすごいんだ。



「鏡花水月を一転に集中させて、
 メドゥーサの盾に傷をつけ、廬山昇龍覇で打ち砕いたんだ。」
「わずかでも傷がつけば、そこから砕け去る。
 固ければ、固いほどね。
 盾を過信しすぎたからこそ、そこが裏目に出たな」


お前の敗因は、それを見抜けなかったことだね。
そう告げると、小さく笑って目を閉じた。
それと同時に、三人の石化が解ける。



「俺たち一体…?」
「光牙!ユナ!」


あたしはユナに抱き付いた。
良かった…!元に戻って!


「よかった…。」


「龍峰…!?それにホタル!」


あたしたちのボロボロな様子を見て察したんだろう。
光牙が龍峰君を、ユナがあたしのことを支えてくれた。


「俺たちのために力を…!」
「まだだよ、まだ、水の遺跡が…」


それと同時に、滝の上から大量の水が降って来る。
なんでいきなり…!?


「これは…!?」

「たぶん、コアの影響で壊れてる。
 水の小宇宙…もうすぐすべてが吸い上げられる!」
「でも、どうやって水の遺跡に…!?」


立ちはだかる、水の壁。
いくらなんでも、小宇宙を消費した状態で道を作るなんてできない…。


「くそ!ここまで来て…!」


悲観に暮れる龍峰。
確かに、ここまでやってそれはない…。


あたしが何か声をかけような迷っていると、何かがこっちに来る気配がした。



「!?」



それは、龍峰君の前で降り立って形を作った。




金に輝く、懐かしい聖衣。




「これは…!?
 天秤座、ライブラの黄金聖衣!?」
「なんで、いきなり…!?
 童虎の…天秤座の黄金聖衣が!?」



驚きを隠せないあたしたちに光牙が不思議そうに聞き返す。



「ライブラ?」
「父さんが守っていた聖衣だよ。
 闇の手に落ちないように…父さんがずっと守っていたんだよ。」
「なるほど…それは英断だね。」

あの人が、天秤座の守護だったのか…。
それは、うれしいね。


「天秤座の聖衣には六つの武具が備わっている。
 聖闘士は武器を持つのを許されていない。
 だけど、アテナもしくは天秤座の聖闘士に許されれば武器を使用することができるんだ・・・。」



その言葉と同時に、聖衣から天秤座の剣が飛び出してきた。
それを手に持ち、構える龍峰君。


あまりのなつかしさに、視界がかすんだ。



「はぁ!」





黄金の剣を振り下ろす。
一瞬の間が空き、そして・・・・



ドォオオン!



真っ二つに切断される水の壁。
相変わらずの威力に、頬が緩む。



「なんて威力…!」
「これが…黄金聖衣の力…!」
「流石天秤座の剣。
 すごいねぇ」


今あらためて思うけど、聖衣はすごいよね。
それに、ふさわしい力が備われば最高の聖闘士になれるっていうのを、改めて思う。


「これが、水の遺跡…!」


滝の中から現れた遺跡への道。
その中へは龍峰とアリアちゃんの二人だけが進んだ。

しばらく、四人で待っていると天高く上っていた水の小宇宙が消えていった。
それは、二人の成功を意味していた。



「やったね!」
「ああ!これで残すは雷の…」


ゾクッ




ただならぬ気配を感じ、あたしたちは一気に体をこわばらせた。














back
141/87


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -