どんなに後悔しても、






「ペガサス 閃光拳!」


龍峰にとどめの攻撃をしようとした敵に、光牙が閃光拳をくらわす。
敵が栄斗と光牙に気を取られている隙にあたしはユナとともに龍峰に駆け寄った。


「龍峰!大丈夫!?」
「危なかったね、龍峰。」
「み、みんな!」


いくら属性の組み合わせが悪いからって龍峰をここまで追い詰めるなんて・・・
あいつ、なかなかやるね。


「ホタル!
 あいつは、私たちが何とかする!
 だから、アリアを!」
「わかった!」


あたしはあいつがみんなと戦ってる間に、
木の陰で隠れているアリアちゃんのそばにいった。


「ホタル…。
 わ、私は大丈夫。
 だから、みんなを…」
「ああ、別に気を遣わなくて大丈夫だよ。
 あいつ等なら、なんとかしてくれるだろうし。」
「でも…」
「へーきへーき!
 あの程度のやつにやられる奴らじゃないでしょ!」


なんて、言った見たものの…。
相手は今までのやつらよりも強い。
それに、あいつにはまだ、隠してる力があるはずだ。


「!?」


小宇宙を燃やして、立ち向かおうとする三人。
それに対抗するように相手も小宇宙を燃やしたけど…なんか、やばい!



「アリアちゃん!目を閉じて!」
「駄目だ!盾をみてはいけない!!!」



三人が、あいつに突進していった瞬間
あの盾から不気味な小宇宙と閃光が走った。



「…!?
 な…」



アリアちゃんを閃光から庇い、おさまった時に振り返ると…



「みんなが…石に!?」



変わり果て、石像と化した三人の姿があった。



「そうか…ペルセウス!
 メドゥーサの盾か!」


見たものすべてを石に変える恐ろしい盾…。
確かにそんな盾を持つ聖衣があるとセージ様から聞いたことがある。


「仲間を守れなかったな。」


倒れていた龍峰と、見ていただけのあたしへの嘲笑。
だけど、それがあたしの心に重く、そして鋭くのしかかる。


「守れ、なかった…?」



過去の記憶が、まるであたしのことを責めるかのようにフラッシュバックする。


倒れていく仲間の姿が、
自らの身を犠牲にした師匠の最後が、
そんな師匠を犠牲にしてしまった教皇の悔いる姿が、


そして



何もできず、ただ慟哭するしかできない、ふがいない自分の咆哮が



「…ぃや…!」



イヤダ
イヤダイヤダ
モウ、オモイダシタクナイ







アタシノココロヲ、コロスヨウナオモイデナンテ





「ホタル…!?」
「ぁッ…」



あたしの腕をつかむアリアちゃんの手のひらの感触であたしの意識は一気に現実に戻る。


「大丈夫…?
 顔色が…」



アリアちゃんも顔色が悪いし、あたしのつかむ腕だって小刻みに震えてる。
それでも、自分のことよりもあたしのことを心配した。

そんなアリアちゃんを見て、
あたしはさっきとは違う意味で自分のふがいなさを痛感した。


「ごめん、アリアちゃん。
 あたしさっき一瞬どうかしてたわ。」



あたしの腕をつかんでいた手に、空いている手を重ねた。



「少しだけ、此処で待ってて。」
「…うん。」









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