離別 火山を下りて一息ついたところで蒼摩があたしたちに頭を下げる。 「すまなかったな。 最後の最後に踏みとどまれたのは、みんなのおかげだ。 あのまま闘っていたら、やつの術中にはまり取り返しのつかないことになっていた。」 何だ、そこまでわかってたのね。 あの時は、頭に血が上ってて気が付かなかっただけか…。 「俺は、あの女を追う。」 蒼摩の言葉にユナが驚いた。 「!? どうして…!?」 「…復讐のため?」 そう問いかけると、 蒼摩は、何とも言えなさそうな顔をした。 「今回、戦ってみてわかった。 俺はあの女と決着をつけない限り先へは進めない。 だから、俺は奴を追う。」 「蒼摩…。」 蒼摩が、あたしの目を探るように見てくる。 あたしはあえて笑っていった。 「別に止めたりはしないよ。 どう生きるかは、あんた次第だ。 死ぬのも、生きるのも、後悔するのも、どう考えるのも…あんた次第だ。 あたしが止める理由なんてないさ。」 「悪い、ホタル。」 「謝んないでよ、あたしが悪いみたいじゃん。」 それから、蒼摩は光牙と目を合わせる。 だけど、何も言わなかった。 離れていく蒼摩の背中を見ながら、少しだけ、寂しく思った。 . ← → back 141/82 |