離別



火山を下りて一息ついたところで蒼摩があたしたちに頭を下げる。


「すまなかったな。
 最後の最後に踏みとどまれたのは、みんなのおかげだ。
 あのまま闘っていたら、やつの術中にはまり取り返しのつかないことになっていた。」


何だ、そこまでわかってたのね。
あの時は、頭に血が上ってて気が付かなかっただけか…。


「俺は、あの女を追う。」

蒼摩の言葉にユナが驚いた。

「!?
 どうして…!?」
「…復讐のため?」


そう問いかけると、
蒼摩は、何とも言えなさそうな顔をした。

「今回、戦ってみてわかった。
 俺はあの女と決着をつけない限り先へは進めない。
 だから、俺は奴を追う。」
「蒼摩…。」

蒼摩が、あたしの目を探るように見てくる。
あたしはあえて笑っていった。

「別に止めたりはしないよ。
 どう生きるかは、あんた次第だ。
 死ぬのも、生きるのも、後悔するのも、どう考えるのも…あんた次第だ。
 あたしが止める理由なんてないさ。」
「悪い、ホタル。」
「謝んないでよ、あたしが悪いみたいじゃん。」


それから、蒼摩は光牙と目を合わせる。
だけど、何も言わなかった。



離れていく蒼摩の背中を見ながら、少しだけ、寂しく思った。














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