5
おまけ
「あ。セージさん。
そんなに慌ててどうしたんですか?」
アルバフィカと双魚宮に行く途中の階段で、慌てて下に降りるセージさんとすれちがった。
「ナナシ様。
いや…いま下で弟子達が暴れてるらしいので、止めにいくところですよ」
「…ああ。
まだやってんだ。」
確かに、下のほうですごい殺気のこもった小宇宙を感じるけど…。
よく飽きずにやってられるねぇ…。
「なんか、弟子を持つって大変そうですね。」
「えぇ…。
しかし、大変だからこそ、成長し、そして立派になっていく姿を見るのが微笑ましいのですよ。」
仮面で目元が見えないから表情はわかりづらい。
しかしセージさんにしては珍しく分かりやすいくらいゆるんだ口角をみて相当うれしそうな顔をしてるのかが分かった。
「もっとも、あの二人が本当の意味で立派になるのはまだ先でしょうね。」
アルバフィカの言葉に、苦笑で返したセージさん。
「あの二人が立派になるのは、私のもとから巣立つときであろうからな。
では、ナナシ様。私はこれにて失礼します。
アルバフィカ。ナナシ様を頼んだぞ」
「はっ!」
「はーい。セージさんもお気をつけて!」
下へと降りていくセージ様。
アルバフィカとあたしはその後姿を見て、思わず噴き出した。
「なんだかんだ言って、セージさんも弟子離れできてないんだね!」
「師匠の師匠があの調子じゃ、弟子や弟子の弟子が師匠離れするのも遅くなるに決まっているな。」
騒がしくも、なんだか微笑ましい蟹師弟たちにあたしとアルバフィカは笑いながらゆったりとブレイクタイムを楽しむことにした。
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