12


「今日はいろいろと迷惑をかけて申し訳ありませんでしたわ。」







青銅たちのもとに戻ったティアははにかみながら謝った。






「ティア、そんなことないぜ。
俺ら今日はすっげえ楽しかったし。」




「そうだよティアさん。
今日は僕たちのわがままに付き合ってもらってありがとう。」







瞬と星矢の言葉に嬉しそうにほほ笑む。
和やかに話すヘスティアと青銅たちの姿を見て
炉の前に立っているハーデスとポセイドンが不満そうに顔を歪めた。






「ヘスティア。
はやくせんか。」



「我らも暇でもないのだ。
お主の力で我らを送り届けろ。」





「はいはい、分かっていますよ。」







せっかちですわね、なんて笑うヘスティア。








「それでは…私は天界へ戻ります。
次はいつ会えるかわかりませんが…次会える時を楽しみにしています。」







寂しそうに笑ったヘスティアに、青銅たちは笑いかけた。








「うん!
楽しみにしてるからな!」




「いつでも来てくれ、ティア。」



「待ってるからね!」



「次は抜け出してくるなよ。」



「今度は五老峰へも来てくれ。」









「…えぇ。
近いうちに、また。」








ヘスティアは五人から視線を外し、アテナとその背後に控える黄金たちを見た。
そしてゆるりとほほ笑むと背を向けた。







「それではみなさん。
ごきげんよう。
また会える日を楽しみにしております。」







炉端の火が、燃え上がる。
それは三神を包み込むと、ふっと掻き消えた。








「!」





「消えた…!?」






「ヘスティア様は炉を自由に行き来できる神。
たぶん、天界かハーデスとポセイドンを送り届けに冥界や海界へ飛んだのでしょう。」





「…そうなのか。」




「なんだか、すごい人と知り合ったんだな。俺ら。」






しみじみと星矢が言うと、その肩にアイオロスが腕を乗せた。







「何を言っている。
我らが女神も素晴らしい人だ。
それこそ、ヘスティア殿にも負けないくらいな。」






「アイオロス…。」








アイオロスのその言葉に、黄金も青銅も皆一様にうなずいた。







「そうだな、我らのアテナは素晴らしい方だ。」




「だな。
俺らを無茶言って生き返らせるようなお人だしな。」




「ふふ、違いないね。」




「…それこそどの神にも負けないくらい素晴らしい女神だ。」





「無茶ばかりする女神だけどな。」






「だからこそのアテナであろう。」






「もちろん、無茶ばかりされても困りますけどね。」








勝手なことを口々に言いながら、それでもやさしい目で我らの女神を見た。











「これからも、貴女をお守りしていきますよ。」










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bkm
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