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悪戯な運命ごと口づけて







「どう、して?」




僕の下に組み敷かれたまま、君は大きな瞳を一際大きく見開きながら、ぽつりと呟いた。
僕は真っ直ぐに君の瞳を見詰めながら、素直に想いを伝えた。





『どうしてって……君の事が好きだからに決まってるでしょ?千鶴ちゃん』


僕は真っ直ぐに君の瞳を見詰めながら、素直に想いを伝えた。


「でも、私達は…」
『知ってるよ。けれど、この気持ちに嘘はつけないから』




君は、取り乱す様子もなく、一つ、大きく息を吐き出すと、何かを決したように凜とした声で告げた。










「私も、貴方の事が好きです。総司さん」







一瞬
全てが静止したのかと思うくらい、千鶴ちゃんの声はクリアに僕の鼓膜に響いた。
いや、もしかすると。
僕の思考が僕の都合のいいように千鶴ちゃんの言葉を書き換えてしまった為に起きた幻聴なのかもしれない。







「あのっ!」






巡る思考を断ち切ったのもまた、千鶴ちゃんの声だった。
反応を見せない僕に、不安そうな顔で様子を伺っている。





「もしかして、さっきの冗談とか……ですか?」
『えっ?』
「だ、だって!総司さんはいつも私をからかうから。だから今も…私をからかってるのかなって」
『それは。千鶴ちゃんが可愛いから、つい虐めたくなるんだよ』




小さな身体が壊れないようにと、僕は優しく君を抱きしめる。
それに応えるように、君もまた僕の背中に腕を廻した。






『イケナイ兄妹だね。僕達』
「……そう、ですね」
『認めるんだ』
「いけませんか?」
『いや』
「?」
『……でもさ。本当にいいの?いくら血が繋がらない兄妹だってこれは許される事じゃないよ?』
「……」





と、自分で言ってはみたものの。
黙りこくる千鶴ちゃんの顔を心配になって見ていると、君は口元を緩めながら「不安になりましたか?」と嬉しそうに言った。






「さっきの仕返しです」
『ああ、そうゆうことね』
「…あの、総司さん」
『何?』
「私も。この気持ちに嘘偽りはありませんから」






そう言葉を紡いだ君の唇に、僕は静かに唇を重ね合わせた。






悪戯な運命ごと口づけて
(僕だって、堕ちていく覚悟はとうに出来てるよ)











2011.07.02 この空の下で 様へ提出








このお話は、タイトルを見た瞬間に閃きました。
禁断の恋っぽい話を書きたいな、と考えていたからかもしれませんが。
私の力量ではこんな感じが限界ですが…。
続きとか書いてみたいかも、と思う仕上がりになりました。

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