小説 | ナノ





気が付けば。俺の視界の先には何時も雪村が居た。
特別意識していた訳ではなく、自然に。
雪村はするりと俺の中に入り込んできた。



この気持ちは、抱いてはいけない。
それは頭では充分過ぎる程解ってる。














「左之」
『なんだ』
「俺は、お前も……雪村もどちらも大事な奴だと思ってる」
『急にどうしたんだよ?』
「……」
『土方?』
「…………もし仮に。お前らが恋仲なら。俺は主任って役職上、お前らに何らかの制裁を与えなきゃなんねぇ」
『お、おいおい。いきなり酷い妄想話だな』
「妄想…ね。そうだといいんだけどよ」





ふっー、と土方が吐き出した紫煙はゆらゆらと、
まるで俺の胸中を探るみたいに揺らめいていた。









『土方。雪村は、他と同じ一生徒にしか過ぎないぜ?』
「…」
『俺を信じろよ』
「……そうだな。お前はそんなに馬鹿じゃないよな」






つまらない話をして悪かった、そう詫びながら立ち上がる土方を俺は無言で見送った。








「本気じゃない」って予防線
(悪いな。本当はもう手遅れなんだ。)


title:Largo




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