竹くく(現代・忍フェス無配)

※忍フェス無配

俺、晴れ男だったんだけどな、とぼやいてみても、目の前に広がる白く煙った世界が変わることはなかった。俺の方にちらりと目を遣った兵助が「まぁ、夜までに止めばいいけどな」と溜息を零した。そこに悲観の色が浮かんでいるのは、夜までには到底止むとは思えないからだ。

「どうせ、降るなら星にしてくれたらよかったのにな」

せっかく流星群が見れると思ってたのに、と恨みがましく雨空を睨む。急に鈍色の雲が空一面を塗りたくったと思ったら、息一つする間に、雨が垂り落ちてきた。偶々、天文部の合宿の買い出しに来ていた俺たちは、雨宿り、と称してしばらくコンビニで時間を潰すことにした。あまりの唐突さに、最初は夕立かと思っていたからだ。だが、どれだけ待っても一向に止む気配はなくて。これ以上、先輩達を待たせるわけにもいかないだろう、と結局、コンビニから出たのだが、その時には既にほとんどのビニル傘が買われてしまっていて、俺たちが手にできたのは最後の一本だった。--------------だから、こうやって二人で傘を分け合っているのだけれども、

「竹谷、肩、濡れてる。もうちょい、こっち来たら」

 いつも並んで歩くよりも、ずっと近い。けど、兵助の指摘通り、俺と彼との間には微妙な距離感があった。頭では分かってる。その間を上手に埋めることができねぇでいた。晴れたら願おうと思っていた。この空隙を埋めることができるように、と。死に逝く星に頼るだなんて自分でも意気地ねぇなと思うけれど、他にどうすればいいのか分からなかったから。

「あ、流れ星」

ふ、と雨を揺らした兵助に、俺は「え?」と辺りを見回した。だが相変わらず俺たちの視界にあるのは流星群が降るような空合いではない。どういうことだろうか、と目だけで訊ねれば兵助が「ビニル傘に付いた水滴が斜めに零れ落ちそうになってるのが、流れ星みたいだったからさ」と、そっと笑って-----------そうして、気づいた。空隙を埋めるには星に願うだけじゃ駄目なのだ、と。行動に移さなければ、と。

「兵助、あのさ。俺、兵助のことが……」


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忍フェス、ありがとうございました!!!




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