三ろ(転生)

転生

夜が少しずつ馴染みだしたてきてた空を目でたどれば燃え盛る茜に行き着いた。山にのめり込んでいく太陽は一秒たりとも同じ形をしていない。急がないと。夕日を見る度に体が駆け出したくなる。どうしてだか分からねぇけど。

「作、ちょっと待てって」

背後から叫ばれて、俺は足を止めて振り返った。部活のダチたちが一冊のゲーム攻略本を囲み、覗き込みながらこっちに歩いてきていた。俺もその集団の中にいたはずなのに、あの赤を見ていたら自然と足早になっていた。追い付いてきたダチらに「悪ぃ」と詫びを入れ、集団の背後に付く。待つのは苦手。先に行くのも好きじゃない。こうやって追うポジションにいるのが一番しっくりくる。昔から。これもどうしてだか分からねぇけど。このアイテムがどうのこうのと盛り上がってるダチらの話にぼんやり耳を傾けながら歩を進める。

「なぁ、作。それいっつも歌ってるけど何の歌なんだ?」

突然、並んで歩いていた部活のダチにそう言われて、俺は鼻歌を歌ってたことに気がついた。中途半端に残された開いた口から夜の冷たさが忍び込んでくる。

「それがさ、分かんねぇだよなぁ」
「何だそりゃ」
「さぁーな」

三つ目の分からねぇこと。茜空。誰かの背後。それからあのメロディ。行かないと、あいつらが待ってる。そう心は叫ぶのに、両手が誰かを探すのに、いつも頭の中の俺が疑問を呈すのだ。あいつら、って誰だ、と。空の赤はどんどんと奪われていき闇へと変わる。そこに浮かぶ三つの星に、泣きたくなった。


+++ばんぷの三つ星カルテットは、本当に三ろ転生ソングだと思う!




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