こへ滝←次

これから色づく季節だからか世界は灰色だった。ただ一点の赤。目に鮮やかなそれ。焔。これから自分が生きていく世界の象徴。そこに頭巾を投げ入れ、今と決別する。
(後悔ならとっくにしている/こへ・卒業)

誰もいない裏庭で、泥に汚れた若草色の切れ端は、じりじり、と小さくなり、炎に包まれていった。彼がもう戻らないことを今さら、知る。
(涙がでそうなのは、煙のせいだ/たき→こへ・卒業)

春の曖昧な青空に一筋だけ昇り立つ淡い白。それは狼煙だった。恋敵である先輩の出立の。これで少しは勝ち目がでるだろうか。靡く煙に不安に思うも、それさすぐに消えた。
(焔の前で立ち尽くす先輩は全身で哭いていた/次→滝)




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