ハチ+鉢雷
「なぁ、雷蔵」
遠慮がちに僕の方に視線を向けるハチに「何?」と淡々と答える。もちろん、焼き魚に伸ばす箸を止めることはない。僕の剣幕に呑まれたのか、「え、あぁ、何でもない」とハチは言葉を濁して煮付けを口に放り込んだ。それから、ちらりと僕の背後に目線を向ける。そこにいるのは、三郎だろう。いつもなら僕の隣にいるはずの彼。その彼が一つ後ろ机から、さっきからずっとこちらを見ているのは知っているけど、敢えて何も言わない。気づいてほしいからイタズラしてる、なんて言うヤツもいるけど、とっくに気づいているわけで。
(さて、どうするかなぁ……)
3.気づいて欲しいから、
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