竹久々 蛙が雨を呼ぶ声に誘われるようにして兵助が俺の部屋にやってきた。まっさらな夜着には敵わないが乱れた袂から覗く肌の白さは目に毒だ。だが、咎めようにも「ハチしかいないから」と言われてしまい口ごもる。歓ぶべきか哀しむべきか。こちらの気も知らずに身を横たえた彼の艶やかな髪が床に散らばる。 前 次