竹久々 「見えないのか?」「あぁ。けど直に治るって」「……よかった」巻かれた包帯の先は暗かったが完全な闇ではない。射し込んでた明るさが落ちたと思った瞬間、頬に熱。ぎこちなく触れてくる兵助から滲むそれが俺の中で融解されていく。その指が僅かに震えていた。(「泣くなよ、兵助」/怪我・竹久々) 前 次