竹谷(現代/home) しゅぽしゅぽと、頭の赤い部分を押し続ける。握った手にはしっかりと石油の独特の臭いが染み付いていた。曲がりそうな鼻を、すん、と啜り、ストーブの石油を容れる器を睨み付ける。なかなか溜まらないゲージに、つい、愚痴が漏れた。「これ、壊れてないよな」空を仰げば、いつもよりも藍い春の闇にまだ残る冬の星。寒さに、ぶるりと身を震わせる。家の中から聞こえてくる他の奴等の賑やかな声に心の中で叫ぶ。(ちくしょー/じゃんけんで負けた竹谷・home) 前 次