鉢雷 きしきしと鈍い痛みが足の爪先に貼り付いたまま取れない。右と左の足裏を交互に甲に擦り付けても、ちっとも温かくならない。春は何処にいったんだ、と心の中で毒づいていると、隣から声が転がってきた。「三郎。寒くて、眠れないのなら、こっちに来るかい?」柔らかな目眩に目を瞑る。 前 次