鉢雷
「らいぞー」
白い雪山もとい布団にくるまってもこもこになっている雷蔵に呼び掛けても返ってくるのは、穏やかな寝息ばかり。もう少し近づいて「雷蔵っ」と声も大きくする。それでもやっぱり、ミルクのような甘ったるい吐息が私の耳をくすぐるだけだった。普段なら疲れているんだろうって諦めるところだけど
「雷蔵」
さらに傍に行って白い山に手を伸ばす。ゆさりゆさり。穏やかだった眉間がぴくりと寄る。でも、「んー」と伸びやかな寝言が一つ戻ってきた後はまた寝息になってしまって。
「雷蔵、早く起きないとさぁ」
そっと唇を落とす。
1.おはようの代わりに、(きみにイタズラ)
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