長次 + 雷蔵 先輩は黙々と的に向かい続けている。それで僕も練習をするしかなかった。手に擦れた跡が幾筋も残り、血豆が潰れかけた頃、先輩は振り向いた。(技は盗むものだ、と/長+雷・学ぶ) 闇にうっすらと漂う鉄錆びの匂い。豆が潰れたか膚を切ったか。どちらにしろ、自分ではないから、この暗がりでは真実は分からない。ただ推し量れるのはその痛みと努力の量だけだ。口にはしないが。(学ぶとは真似ることだ、と身を持って知っている/長+雷・学ぶ) 前 次