俺の次屋三之助が包丁を持って俺の部屋にいる
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昼寝から起きたら俺の部屋に三之助が居た。
俺と三之助は清く正しいお付き合いをしているのだが。
なんか包丁持って俺の枕元に正座してた。
三之助が居る、なんで?と思った瞬間に俺の顔の上に包丁。
飛び起きた。包丁にあたらないように気をつけつつ。
「・・・おま」
三之助の前に俺も正座して、話しかける。
ここまで三之助は無言だった。怖い!何か喋って!
「なんだ」
「いや、ちょっえ?」
包丁を指差して、三之助を指差して、また包丁を指差す。
昔母さんから人を指差してはいけませんっていわれたけどこれはもう指をさすしかないだろう。
「なんだ」
「・・・何で包丁持ってんの」
ちょっと譲って部屋に居るのはいい。恋人だし。
三之助はなんとも無いような無表情で喋る。
それがまたいっそう怖い。
「悪いか?」
「悪い悪くないじゃなくてな・・・いや悪いけど」
「は?」
「えっごめん」
凄い顔されたから思わず謝った。
「・・・」
「何で包丁持って・・・いらっしゃるの?」
「なんだその口調、ふざけてんの?」
「・・・いや・・・」
精一杯の丁寧な言葉遣いだったのに。
まぁたしかにちょっとふざけてるようにしか聞こえない。
「・・・」
「とりあえず包丁置こうぜ、俺に渡せ!な?」
「いや」
「渡して!ほら!」
「断る」
手の上に置け!と手を差し出す。
三之助は両手でガッチガチに包丁を握ったまま放そうとしない。
俺は今日死ぬのかもしれない。ちょっと覚悟をはじめてしまう。
何をしたのかわからないうちに死ぬのはいやなんだけど・・・。
「ええええ・・・俺にどうしろと」
「わからないのか?」
「・・・うん」
「・・・」
「ごめん・・・」
「・・・」
無言はやめて欲しい。居心地が凄く悪い。
「ごめんなさい、許して」
「わからないのに謝るのか」
「えっ」
「・・・」
頭を下げたけど駄目らしい。分かってないと駄目なのか・・・。
「教えてくれないか?」
「昨日・・・」
「うん?」
「昨日俺と話すよりいっぱい作兵衛と話しやがって!!浮気だああああ」
「えええええ!?」
何その理由!
「刺してやる!!くそ!!」
「ちょっおま、待て!落ち着いて!俺はお前を手分けして探してたんだぞ!?」
三之助が包丁を振りあげる。ぶんって音がした。
俺は急いで距離をとって、三之助を落ち着かせようと声をかける。
「・・・」
「お前を!探してたんだぞ!?」
「・・・そうなの?」
ぽかん、とした顔で包丁をゆっくり下ろす三之助。
ほっと一安心だ。怖かった・・・!
俺が生きてきた中でかなり高い順位に入るくらい怖かった。
「分かったら包丁返してきてやるから渡せって・・・な?」
「・・・わかった」
「・・・俺!浮気しないし!」
手をしっかり握りながら宣言する。
俺は浮気大嫌いなんだよ!だから大丈夫!
「・・・うん、したら本気で刺す」
「・・・はい」
包丁も放してもらえたし、また三之助がどこかに行く前に包丁を返してこようかな。
「俺も一緒に行く」
あぁ、確かにそっちの方がいいかも。厠、とかいって部屋を出られたらまた探さないといけない。
にこっと笑って、三之助の手をひいて、食堂に行こう。
その時の同室者の一言
「なんだこれ」