こんな世界いらない
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「僕、信二朗より弓さんが好き」
そういわれた瞬間、俺の視界は真っ白、思考は止まった。
ええ?俺ら付き合ってませんでしたっけ?
恋人よりぽっと出の天女様が好きですか。
「そう」
でも表面は取り繕って冷静を装う。
俺、いい子だし。泣いたり喚いたりなんかしないよ。
「信二朗は僕なんか好きじゃないみたいだし」
「・・・そう」
あぁーこれはふられるな。
もう俺より好きな人できてるなら引き止めても駄目だ。
それに俺が一番じゃないなら付き合ってても悲しいだけ。
「もういいよね」
「わかれろと」
「うん」
言葉にはしてたんだけど。好きとか、愛してるとか。
後姿が見えなくなってからこっそりため息。
良く考えれば12年、いい事なんかあんまり思い出せない。
大体この世界は俺に優しくないんだよ。
生まれてから結構不幸でしたよ?不運じゃなくて不幸。
その上数馬もいなくなったとくれば。
「死のう」
いらないやこんな世界。
苦無で腕を軽く切り、理由を作って保健室。
数馬は弓さんに夢中で居ない、善法寺先輩も、左近も皆居ない。
皆弓さんに夢中なのかな?ちょっと笑う。
こっそり毒薬らしき物を持ち帰る。何だっていいよ。
死ねなかったら別の方法で死ぬまでだ。
その全部を、水でごくん。
さてみなさんさようなら。起きたらきっと地獄だな、はは、なんて。
「信二朗っ・・・!信二朗・・・!!」
あー誰か呼んでる。鬼か何かかな。
「信二朗・・・!!戻ってきて・・・!!」
あれ?数馬の声じゃないか?必死な声。そんな声聞いた事無かったなー。
最後の夢が数馬か、神様も嫌な事する。
「信二朗ってば!!」
そこで目をうっすら開く。夢なら何でも出来ると思って。
顔を覗き込んでいるのはやっぱり数馬みたい。薄紫だから。
もういいじゃん、俺を苦しめないでおくれ。
「起きてよ!!起きて・・・!」
ほっといてくれ、どうでもいいんだ。
このまま寝かせて。良ければ逝かせて。
「本当はあんな事言うつもりじゃなかったんだよ!!好きだよ!!大好きだから・・・!!」
そんな事言うな、これ以上悪夢にしないでくれ。
夢でさえも俺は不幸だなんて。やっぱりこの世界にさようならしたい。
目を閉じる。またねなんていいたくない。
出来ればどの人生でも君と出会いませんように。