おかゆ 「あっついよーーー!!」 「当たり前だろ」 「ちゃんと、ふーふーしてよ!」 「は?何わがまま言ってんだよ。食わしてやってるだけでも、ありがたいと思え!」 「わがままじゃないよ!常識だよ!熱い!だから、ふーふーしってって!」 「はぁ〜お前に常識とか言われたくない」 ため息をついて、レンゲを椀の中に突き刺した状態でそいつに渡す。 が、頑として受け取る気はないらしい。 生活能力の低そうなこいつが風邪をひくのも毎年の事なんだけど、 確か、あれって風邪をひかないんじゃないのか? 諦めて、レンゲを握り、今度はちゃんと冷ましてから口に運んでやった。 「塩味が薄い…」 「俺が作ったんじゃない。レトルトのを買ってきただけだ」 「…知ってる」 最初は作ってやろうと思った。けど、そこまでしてやりたいって思う気持ちが、 何となく恥ずかしくて、来る途中にコンビニで買ったんだ。 「手作りのやつが食べたかったな…」 言われて、ちょっとだけ後悔した。 「何で俺がそこまでしなきゃなんないんだよ!ほら、食え!」 「あっつーーー!だから、ふーふーしってって!!!」 「病人のくせに元気だな」 「しんどいよ!しんどい、しんどい。ほら、あーん…」 「はぁ…」 疲れる。何でこんなに疲れるんだ… 普段と違うちょっとだけ熱でほてった頬と、火傷で赤味を増した唇… それが、俺の何かを掻きたてる。 口を広げて待ってるこいつの何に何を掻きたてられるのかは、知ってるようで知らない気持ち。 もうちょっとだけ、このままでいたいって思う俺って、 やっぱりやばいかな??? [*前] | [次#] ≪戻る≫ |