チョコ





今日は絶対に帰りにチョコを買って帰る!と心の中で宣言をした俺は、
宣言通り、帰りにコンビニに寄っていた。

コンビニに入って真正面に見慣れた髪の毛、後姿を発見し、すーっと真後ろに立つ。
そいつはまだ気づいてない。
しめた!と思い、奴の膝の裏に、俺の膝を当て、かくっと曲げれば、予想以上の反応で、

「のわぁぁぁぁぁ!」

と前に倒れそうになった。
慌てて、後ろから腰に手をまわして支えれば、思った以上に細い腰…

と、同時にあらぬ動きをしだす心臓を意識して、顔が赤くなった気がした。

腰を後ろから抱いた状態のままで、そいつが後ろを振り返る。

「何だ、お前か。もう!びっくりするじゃん!!!」

といつもの悪態をついてくれたことで、ホッとした。

「はは、お前リアクションでけぇよ!ここまでとは思わなかった」

と無理矢理俺もいつもの調子で答える。

腕を放し、目的のチョコの前に行くと、そいつも後ろからついて来る。

「チョコ?あ!俺、これが良い!」

「待て!俺、お前に買ってやるって言ったけ?」

「言ってないけどぉ、さっきのお詫びにこれ買ってよ!ていうか、一緒に食べようよ」

と、そいつの好みらしいチョコを手に持たせられる。

いつもの調子に戻したいのに、うまく行かない俺の心臓。
女のように細かった…

「あ!これもおいしいんだよ。あと、意外にこれも…あ!甘いのだけだとあれだから、塩っ辛いのも入れて…」

何やら色々と聞こえるが、すべての音を排除して、俺は掌をじっと見ていた。
と、そこに、

「じゃ、会計よろしく!」

とコンビニのかごに入った山盛りのお菓子…

は?こんなに…!

と急いで振り返ったが奴は既に外に出ている。棚に戻そうとしたとき、視線を感じた方を見れば、レジにいるバイトの女の子と目があった。

「はは…」

と乾いた笑いをこぼし、そのままレジに向かう。

「お会計1628円になります」

コンビニで1700円…。

重さの割りにでかい袋を両手に一つずつ持ってコンビニから出れば、駆け寄ってきたそいつ。

「ありがとー!!!」

と袋を漁りだす。

おいおい、子供じゃあるまいし…

そこから出したチョコは俺が一番好きなチョコで、個包装を剥がし、

「はい、あーんして」

たった150円ほどの買い物が10倍になったけど、これはこれでおいしいな、と思う…



俺って、何かやばくねーーー????







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