目玉焼き




ごろごろと寝過ごすゴールデンウィークも残すところあと2日。

趣味なんてものがある訳じゃないし、男2人で何すんだ?って事で、いつものように俺んちでゴロゴロ。

初日こそDVD借りてきて見てたけど、それも3本も続けて見りゃ飽きてきて、結局本を読んだり、テレビ見たり…

それでも生きてる証拠に腹が減る。出前でもすっか…と言えば、

「目玉焼きが食いたい!」

と鼻息荒く言われた。

たかが目玉焼きで、鼻息を荒くされることも意味がわかんねぇけど、こいつの思考をまともに考えたところで、
きちんとした理論なんてものが出てくるわけじゃない。

て訳で、さっきからフライパンの前で火の加減を見ながら待機。
こういうシンプルなものほど、火加減が難しかったりするんだよな。

「もう、出来る?」

「うーん、もうちょいかな」

「俺、何か手伝う!」

「いや、またビスケットにされちゃかなわねぇから、あっち行ってろ」

「しないよ〜、何か手伝う!」

「…いや、いい。あっち行ってろ」

「ケチ!」

ドンドンと下の階から苦情が出そうな勢いでキッチンを出て行く。
ケチって言われるほど、俺はケチじゃねぇぞ!
人よりは若干財布の紐が硬いとは思うけど。



出来上がった目玉焼きを皿にのせて、ちぎったレタスと、プチトマトを添えれば、まぁそこそこ。
何か女の子みてぇだけど、前の彼女が良くこれしてたな…

火加減見ながらきちんと作ったから、黄身は半熟のはず。

出来た目玉焼きの皿と、パンとインスタントのコーンスープを目の前に置く。

「おお!黄身半熟?」

「多分な」

「いっただっきまーす!」

「おう」

半熟?とか聞きながら、何で最初にサラダを食う?と思ったけど、無視した。

会話もそこそこに食い終わってやつの皿を見れば…綺麗に黄身のとこだけ残してる…

「何でそこだけ残してんだよ…」

「ん?」

「子供みてぇなことすんな。早く食え」

「だって…」

「だって?」

「俺、…その…、…キミが好きなんだ」

「ふーん」

「だから、キミが好きなんだよ!」

「誰も悪いなんて言ってねぇだろ?」

「だから、きみが好きなの!!!」

「はいはい。好きなものは最後に食うってことだろ?誰も取りゃしないんだから…」

「……もう、いい」

最後に残していた黄身の部分を一口で放り込む。
黄身が好きだというわりに投げやりに食べていたことが気になるって言えば気になるけど……


片付けも終えて、また何もすることがない。
やつはさっきの件で拗ねたらしく、ソファの前の定位置でふて寝をしてしまった。


そのソファに腰掛けて読みかけの本を開く。
結構面白いところのはずなのに集中できない。

スースーと寝息を立てる顔を見て、さっきのやり取りを思い出す。








え?

マジで???

いや、まさか…


黄身が好き
  ↓
きみがすき
  ↓
君が好き…



ははは!ありえねぇ




いや、


まさか


まじでぇぇぇぇぇ???????






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