En échange de la sensation que j'ai accepté
〜認めた気持ちと引き換えに〜


ゆっくりと、玄関に光が消えていく。

アルコールの回った体を血液が駆け巡る。
背中に回った腕が徐々に緩み、支えを無くしそうになった俺の体は、ぐにゃりと崩れ落ちそうになる。
慌てて腕の力を入れ、再び俺を支える高元に、ひょっとしてこの男も、どうして良いのかわからないのではないかと思った。
伝わってくる俺のじゃない高元の心臓の動きが、そうじゃないのかと語っていた。
しばらくそうしていると、

「認めてしまえ…」

聞こえるか聞こえないかの耳に入ってきた言葉は、俺に言ったのか、高元自身に言い聞かせたのかはわからない。


でも、その言葉は俺の今まで抑えてきたものを溢れ出させるのには十分な威力で、
ぶらりと下げていた腕を、高元の背中に回し、力を入れてしがみついた。


お互いの心臓の動きが重なり合うことなく、お互いの体に響く。
密着した体が徐々に離れ、高元の額が俺の額にくっつく。
俺より少し高い位置にあるそれが目の前にあることに違和感は感じない。

ガキでもあるまいし、次に取る行動がどんなことかくらいは酔いの回った頭でもわかってる。
かすかに香るアルコールの匂いを含んだ吐息が俺の唇に届く。
触れるだけで離れた唇を、追うように、縋るように求めた俺に、また1つ、また1つと俺の唇に落ちてくる。

啄ばむような動きになり、少し開けた唇から、ヌルリと入ってきた高元の舌に、自分のそれを絡ませていく。
喉の奥まで貪られ、意思を持った舌の動き。
高元という男が、どんな男かなんてわからない。
ただ、今わかることは、あれだけ求めた男が、自分を求めているという事だけだった。

離れた唇の端から、どちらのものともわからない唾液が顎を伝う。

靴を脱いで支えられない自分の体を呪い、ベッドまで担がれ、乱暴に仰向けに寝かせられる。

お互いの服を脱がしあいながら、キスをし、もつれるように体を重ねた。

男同士のやり方なんてわからない。

酔った頭と昂ぶった熱を放出へと向かう行為の最中に、高元を強く求めながら、認めたところで、と思う。

認めたところで、何が変わる。

認めた気持ちの向こう側に何があるのかなんて、
男女の恋愛だって同じことだ。



引き換えに得たものが何かなんて今はわからない。
何かを得れば何かを失うのだろう。


だが、求めた相手が自分を求める。今はそれだけで良い。

放出し何とも言えない脱力感と満足感から、意識を保つことが無駄な抵抗に思えた。

離れた体を俺の横に沈ませた高元の気配を感じ、
開けていたいと思う目を閉じ、無駄な抵抗を諦めた俺の耳に、

「初雪を見ると結ばれるって、男同士じゃ有り得ない、か…」

諦めにも似た高元の自嘲を含む声だった。
髪を撫でられる感触に、心地よさを感じ、目を閉じた。

高元にとっても、俺がサンタのくれたプレゼントになれれば、それで良い…
そう思い、心地よい眠りの中へ入っていく俺の手が、
頭を撫でる高元の手に重ねられた…


〜END〜




貴重なお時間を頂き、また読んで頂けたことに本当に感謝致します!

皆様にとっても、素敵なクリスマスでありますように!Merry Christmas!!!

08/12/23


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