彼から見た彼 あきほちゃんがおかしい。 そう思い始めると色々と目につきだす行動というものがある訳で…… 飲みに誘っても断られることが増えた。とか、仕事中にこっそり携帯のチェックをしている回数が増えた。とか、昨日と同じ服のときがある。とか、本人は今まで気づいてなかっただろうけど、しょっちゅうつけてた寝癖がなくなった。とか…… 妙に色気を感じる瞬間が増えた……とか…… 本当に数え上げたらキリがないくらいに。 更に言えば、それに比例してブライダルの方を見る回数が増えた…… 俺の予想では、綺麗どころの集まるブライダルの女の子と付き合いだした……と思ってんだけど。 それを聞きだせる相手は1人しかいない。 「なぁ、山本」 「はい」 「お前んとこの子で、住宅の誰かと付き合ってるって子がいるはずなんだけど…」 「うちの子と住宅で?」 「おお」 「さぁ。聞いたことないですけど……」 「そっか……」 「それ聞いてくるって……住宅の方は誰ですか?」 「……あきほ」 「え!?坂田さん?」 「うん。最近、行動が怪しい。ブライダルの方ばっかり気にしてる……」 「……そうですか……はは」 「何だよ?」 「いえいえ。へぇ坂田さんが」 そうか……ブライダルの子じゃない可能性もあるのか……にしても、大胆な子だよな。 これも本人はまったく気づいちゃいないけど、首んとこのキスマーク。 本人、虫に刺されたって言ってたけど、薄くなり出すとまた濃くなる。 消える間もなく付けられてる。 恥ずかしくてさすがに誰も何も言えないけどな。 よっぽど惚れられてるんだろ…… まぁあれだけ綺麗な顔してたら、心配だよな…… 「それ、坂田さんに言いました?」 「いや」 「ふ〜ん」 「何?」 「言ってみたらどうですか?」 「はは。からかったらムキになるからおもしれぇけど、機嫌損ねたら原稿受け取ってくれなくなるからな……」 「……そうですね。また何かあったら教えて下さい。俺も気になるんで」 「おお」 にしても山本も悪趣味だな。あいつもあいつで行動が色々と謎だけど…… まぁあいつは放っておいてもすぐに彼女が出来るだろ。 はぁ〜。俺も早く彼女探そっと。 そんな黒田がことの真相を知るのはもう少し後…かもしれない。 [*前] | [次#] ≪戻る≫ |