// 好敵手!





「前は東京の氷帝学園に居ました、松本幸喜です。宜しくお願いします」



今日は四天宝寺中に通う初日。オーソドックスな挨拶をして、軽く礼をした。私のクラスは二年七組だった。かなりのクラス数だ。正直人の顔と名前を覚えるのは苦手である。



「じゃーお前の席はあそこや。隣は十四番財前光。仲良くやりや」

「…はい」



黒髪と聞いて一瞬優等生を想像した(あの謙也や白石すら脱色しているのだから)のが間違いだった。
え、なにこの耳。なんかいっぱい刺さってるんですけど。氷帝にはピアスなんて開けてるヤンキーいなかったし、なにこれこわい。しかも朝のSHRから早くも耳にイヤホンくっついてるし。ちょっとは我慢しろよ。



「…宜しく…」

「はぁ、どうも」



無表情のまま軽く頭を下げられた。うん、ちゃんと挨拶するって事は良い奴…なのかもしれない。とりあえず指定された窓際の一番後ろの席に座る。あ、気持ちいい。眠いなここ。






「おーい松本クーン」

「し、白石、先輩…!」

「あぁ、おったおった。自分テニス部入るんやろ。ほい入部届。放課後出してくれたらもうすぐ始められるから」

「ど、も…」



昼休みに入ってしばらくして、廊下から大声で呼ばれた。聞き慣れた声に見てみるとそこには白石。二年生の間でも人気があるらしく、女の子達がひそひそと私や白石を見ている。言いたくないけど、女子じゃなくて良かった。嫉妬が怖いのは跡部の時から良く知ってる。



「部長、こいつテニス部入るんすか」

「せやで。財前、同じクラスなんやな」



白石と話していたら通りすがりの財前が割り込んできた。ぶ、部長?もしかしてこのピアス野郎もテニス部?



「松本クン、こいつがうちの"天才"財前。二年生でレギュラーやっとる」

「ちょ、止めてくださいよ」



レギュラー…だと…?つまりはテニスが上手い、と。ふつふつと闘争心が沸き上がるのを感じた。二年生レギュラーは私で十分だこのピアス野郎。



「頑張ってな。松本クン」



そんな私の心中を察したのか白石はぽんと私の肩を叩いて上の階に帰って行った。くそ、白石め。嵌めてくれるじゃない。



「…」

「…何やねん」

「…負けねぇ…」

「…は?」



こんなチャラ男に負けてたまるか!


拝啓、従兄弟へ

俺意外とがんばれそう。




100527

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