// 悪戯








気持ちを伝えるかどうかなんて、私の自由じゃない。






「朝っぱらから…誰」



朝、携帯のメール受信音に起こされた。朝日が眩しい。なかなかに良い天気のようだ。実に爽やかな朝である。
が、その爽快な気分は謎のメールの本文によって吹き飛ばされた。



わたしはジュリエット
あいするひととひきさかれた
かなしいおんな



「…なにこれ。チェンメ?」



そのメールの訳が解らなくて、私はすぐに画面を閉じた。どうせ何人かに送れとかいうチェーンメールだろう。
一つ不審に思ったのは、必ずあるはずの差出人情報に名前以外何もなかった事。こちらに送ってきた以上相手のアドレスも解るはずなのだが、それが無かった。何かのバグだろうか。



『瑞希ちゃーん、起きなさーい』「はいはーい」



下から飛んできたおばさんの声。早く朝ごはん食べないと、また遅刻しちゃう。
私がベッドからがばりと身体を起こした時、ある違和感を感じた。このパジャマ…こんなに小さかったっけ。こんなに足首出てたっけ…?成長期かな。





階段を下りてリビングのドアを開く。早く食べて行きなさいよ、というおばさんのいつもの台詞が、今日は無かった。



「…あなた、誰?」

「は?」



誰、って、あなたの妹の娘の瑞希ですよ。おばさんも歳なのかな。



「お、おばさん?瑞希だけど?」

「…うちに居る瑞希ちゃんは…男の子やないわよ?」

「はぁ!?」



男の子、って、私そんなに酷い寝癖でもついてるの?慌てて周りを見回すとそこには真っ暗なテレビがあって、それに写った私の姿は



「お…男!?」



私、男になってました。





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