リビングの机の上に置いておいた使用済妊娠検査薬を見て蔵ノ介が目をまるくしていた。たちまちその顔が緩み、嬉しさと不安が混じった笑顔に変わる。



「陽性?」

「…みたい」

「やったやん!」



蔵ノ介がぎゅっと私を抱きしめた。けどその腕は直ぐに緩くなって労るように私の背中を撫でた。



「しんどないか?大丈夫?」

「大丈夫だよ、ほら、晩御飯できてるから早く着替えておいで」

「どないしよ、めっちゃ…めっちゃ嬉しい。嬉しすぎてもうあかん」

「まあまあ、落ち着いて」

「そないな事言われてもなぁ…」



自分でもびっくりする程私は落ち着いていた。自分の身体の事だから出来ているのは薄々分かっていたのもある。その代わりと言っては何だが蔵ノ介の異常なまでの喜びように少し照れ臭くなった。



「ほら落ち着いて、この子に笑われるよ」



お腹を撫でながらそう諭すと蔵ノ介は唇をきゅっと結び「うん」と頷いた。金ちゃんみたいだ。



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