真新しいバスタブにぬるいお湯を張り、薔薇の香りのする白い入浴剤を規定よりも多く入れ、濃く濁ったそこに足を入れた。広げた蔵の脚の間に座り、しなやかな筋肉のついた胸にもたれる。
「ええ湯や」
「ん」
「あったかい」
「ね」
蔵は私の肩に顎を乗せ、語りかけてきた。蔵が喋る度に身体に直接響いてくすぐったい。
「…子供欲しいなぁ」
「どっちがいい?」
「ん?」
「男と女」
「…どっちでもええ」
「私ね、双子が良い」
「双子かぁ…ええなぁ」
「男の子と、女の子の双子」
「こづえは欲張りさんやな」
「…頑張って二人で育てようね」
「ああ、楽しみやな、子供」
100329