「よい…しょ」

「俺がするで。座っとき」

「う、うん」



もしかしたら今、付き合ってた頃よりときめいてるかもしれない。
子供が出来たと謙也に打ち明けた。その時の謙也の反応は私の想像とは180°違っていて、少しだけ見直した。(それを謙也に言ったら「少しだけかい!」と突っ込まれた)



『謙也』

『なん?』

『子供できた』

『さよか。何ヶ月?』

『え、に、二ヶ月くらいかな』

『安定期入るまで大人しゅうせなあかんで』

『へ、あ、はい』



謙也がやたら落ち着いていて私は見直すのと同時に悔しい思いをした。びっくりさせてやろうと思ってたのに。謙也曰く「あん時はびっくりしすぎてリアクションできんかった」らしいけど。



そして今、私が安定期に入るまで大掛かりな家事は謙也がするという事で、謙也はまるで働き蟻のように忙しなく家事を熟している。その動きはたまに危なっかしかったり目が離せなかったりするが、今の謙也は正直"頼れる夫"だ。



「ヘタレのくせに…」

「え、なんて?」

「なんでもない。お茶煎れて」

「人使い粗!」



100514
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